【PERSONAL FILE】Singer-songwriter Kouichi Arakawa 音楽に学び、音楽で返す

インタビュー シンガーソングライター Kouichi Arakawa

バンドメンバーが全員本当の家族の5人組バンド あらかわ家 と、実の姉とのR&Bユニット SUN BLAST のメンバーとして活動しているシンガーソングライターのKouichi Arakawa
AbemaTVで密着番組が放送されるなど、今注目を集めている。
今回は家族とのバンド活動の経緯や、影響、カルチャーの捉え方などを訊いた。


音楽が身近過ぎる環境


 ──現在の活動について教えてください。

Kouichi 東京でSUN BLASTっていうR&Bグループとあらかわ家という僕の本当の家族と一緒に音楽活動をしています。宜しくお願いします。

 ──現在の活動に至った経緯を教えてください。

Kouichi 家族が多すぎて話がややこしくなるんですけど、11年前に父親が50歳でメジャーデビューして、それまでも親がずっと音楽をやってて。
お姉ちゃんが4人いるんですけど、みんな音楽をやってるんですよ。僕が6歳の時から長女がライブハウスで歌ったりお父さんのライブをみんなで観に行ったりとか、常に生活の一部で音楽があった、みたいな。
全員音楽の道に進む中で、自分も高校卒業して大学行こうか音楽やろうか悩んでた時は、音楽の専門学校行こうとしたんですけど、周りにこんな兄弟多いし、バンドメンバーとか周りに色んな音楽の人がいたから今の状況が専門学校みたいなもんだと思ったから、専門も大学も行かずに音楽を本格的に始めようってなって。
その後、三女がちょうど音楽をやろうか悩んでいて、自分はとにかく音楽をやろうと思ってたので、二人でやろうって話になって、SUN BLASTっていう今のグループになったって感じです。

 ──高校卒業のタイミングで音楽一本に決めたんですね。

Kouichi こんだけ兄弟も全員やってるとみんなには誰か一人は普通に働く人いるだろみたいに言われて、俺も男一人だから(音楽を辞めて働く事を)ちょっと考えてたりもしたんですけど。やっぱり6歳の頃から年に一度とかステージに立ってて、アドレナリンが出るあの感覚を味わえるのは音楽しかないなと思って、音楽の道に進みました。

 ──音楽への想いが強かったんですね。

Kouichi 身近過ぎて。音楽が。兄弟も家族もみんなやってるから当たり前なっちゃって。

 ──SUN BLASTになるまでの経緯は?

Kouichi 高校卒業してからSUN BlASTになるまでちょっと時間があって。三女のYuukoが元々ラッパーの人とR&Bグループを二人でやってて。それが解散ってなった時に俺がそのラッパーの人に直接話がしたいって言って、俺もヒップホップとかR&Bやりたいから一緒にやってくれませんかって話をして。
俺が音楽を本格的に始めるって言っても家族のコネみたいなものを使ってやるのが嫌で、自分には自分の道があるんだぞっていうのを開きたくて。その人は俺が高校の時にバイトしてたラーメン屋の店長で元々そこでYuukoと俺とその人で繋がりができてたんで。その時Yuukoは一人で歌ってて、こっちはこっちでやってるって感じだったんだけど。3人でやればいいねってなって、SUN BLASTは元々ラッパーも含めて3人だったんですよ。そっから年月が経ってその人が辞めるってなって、じゃあ二人でやるかってなって。普通に最初から二人でやればいいものをめちゃめちゃ遠回りして。でもそれがあったからこそお互いに兄弟としてじゃなくて1グループの人間としていい関係を築けてるっていうのがあるかな。

そこですぐ二人でやってたら多分俺らもめちゃめちゃなあなあな感じだった。お互いに色んな人とやってみて、それでこの結果だからやっぱり運命じゃないけど兄妹ってすごいなあって。

 ──辿り着いた先が兄弟だったんですね。

Kouichi 結局。やっぱりハモるにも何しても、思いつき、考え方、何に対してもやっぱり似てるからすごい合うんだよね。

SUN BLAST
SUN BLASTのオンラインライブの詳細は下記より。

オンラインライブ SUN BLAST ONE MAN LIVE 【Streaming+(配信)】詳細はこちらより。

 ──転機となった出来事はありますか?

Kouichi SUN BLAST以外にもう一つあらかわ家っていうお母さん以外の家族全員でやってるバンドをやり始めて、それが3年前とかに本格的に動き出して、長女が色んな所に直談判しに行って。ワーナーと育成契約したのも元々長女がワーナーの社長に対してずっとFacebookのDMを送り続けて、2年くらい経ってから実ってワーナーの人たちがAbemaTVを繋げてくれて。

去年AbemaTVでうちらがあらかわ家として一万枚CDを売ったらメジャーデビューできるみたいな企画があって、それが3ヶ月間だったんだけど毎日AbemaTVの人が家に来て。今日どこ行きます?売れないですよ?みたいな。うちらも本気で音楽はやってたけど、プロっていう意識はこの3ヶ月でめちゃめちゃ持ったっていうか。この時代にCD1,000円で買ってくださいって。サブスクでめちゃめちゃ簡単に音楽をきける世の中になってる中でCDっていう古い方法を使って。俺たちも最初、まあできるとは思ってたけど、どっかでなんか「あー、ダメかもな」っていうのを思いつつやってたから、やっぱり初めて見知らぬ人にCD買ってもらった時とかめちゃくちゃ嬉しくて。ポンってダウンロードするだけじゃなくてさ、人と人のコミュニケーションでっていうことに対してすごい感動しちゃって。絶対にここでプロとして、買ってくれた、応援するよって言ってくれた人たちに恩返しするためにっていう想いが本当に心から出てきたっていうか。
俺は正直自分がカッコつけてやり始めたものだから、よくインタビューで人のために歌いますとか言ってるのがあんまわかんなかったんだけど、本当に心の底から人のために恩返しするためにって思った。今は自分がプロとしてっていう明確な想いがあってできてる。だからAbemaTVがすごい転機だね。音楽に対する気持ちも全部変わったし。

 ──家族でバンドをやることの難しさとかはないですか?

Kouichi 悪い言い方で言ったら結構ポップだよね、家族でやるって。俺は男だし色んなカルチャーから影響を受けて結構かっこいいものをやりたいって思ってて。家族でなんかすげぇポップなものをやるってことに対して、みんなもそれぞれ思うところはあったと思うから最初はAbemaTV始まる前とかは全然やる気出ないってこともあって。それぞれがやる気ない感じになっちゃってるから、あらかわ家としてのプロモーションとかも何も進まずにいたんだけど、長女一人だけがずっと頑張ってて。うちらは本当に喧嘩しなくて、音楽に対してもやっぱり兄弟だから「あ、それいい」っていうのは一緒なの。みんな。だから長女の背中を見てやらないとなって自然となって。そっからAbemaTVを通して、それは違うっしょみたいな気持ちをいい意味で捨てられたというか。

──家族でやる恥ずかしさみたいなものが、抜けたという感じですね。家族でやっていく良さはなんでしょうか。

Kouichi 俺が思うに、みんな違うジャンルの音楽をやってるってことかな。いろんな良いものに触れる機会があるという感じ。
例えば一つのアンダーグラウンドのカルチャーに囚われ過ぎてると本当に良いものって見えない気がしちゃって。そのカルチャーがあるからこそ俺が今やってる音楽とかってもちろんあるんだけど。でも例えばボカロとかさ、オペラとかそういうのでも自然に自分で良いって思えるものって絶対あるんだよ。駅で流れてるものとか。
家族でやってるってことはみんなジャンルも違うからさ、もちろん自分のスタイルは確立してるけど、良いものは良いって言えて。なんか固まらずに、良いものは良いって自分のプラスに捉えていけるしポジティブに物事を捉えられるなって。家族でやる意味ってすごく大きいなってめちゃめちゃ思う。


音楽で稼ぐ意味


 ──影響を受けたものは?

Kouichi ちっちゃい時にずっと兄弟5人でお父さんのイベントとかでてた時に、結構家ではブラックミュージックがずっと流れてて、Yuukoもそうだし兄弟全員R&Bとかめちゃめちゃ好きで。ただ、俺が小学校の時は誰がR&Bとかわかんないままジャクソン5とかも聴いてたかな。

俺が昔からずっと好きなのがエルビスプレスリーで。ロックンロールなんだけど、R&Bもビートルズもそうだけど全ての音楽の元になってて。男としての圧倒的なスター感というか。俺はスターですよみたいな。超堂々としてるその姿に「ああ、これが音楽だな」みたいな。それはみんなにキングって言われるし元になるなって。もう仕草から挨拶の仕方から全部がかっこいいわけよ。だからエルビスとかリトルリチャードとか。ロックンロールがっていうものが音楽の元になってるっていのを初めて知って。そこを聞いて、そっからビートルズに繋がってって、それを聞いた人たちがR&Bとかブルースとかその黒人音楽を聴いて、そういうのがなんか全部、エルビスが元になってるってのを知って超影響受けた。エルビスの映画とか全部観てたし。

だから俺のこの服装とかも超パクってる。

 ──活動をしている中での学びはありますか?

Kouichi 音楽をやっててよく分かったことは、音楽って日々の生活とほぼ同じだなということ。
日常的な色んな気づきっていうものが音楽に全部生かされるわけよ。だから最初に音楽やり始めた時には気づかなかったけど、音楽をどんどんやってくうちに人に対する接し方とか、振る舞いとかが全部音楽に影響されてくんの。
そのおかげでパフォーマンスは元々めっちゃオラついてたんだけど(笑)歌に対する気持ちもそうだし、立ち方とかでも人を引き込むものってオラつくとかカッコつけるだけじゃないなって。本当に表情一つ、誠実さっていうか。なんかそういう、挨拶とか、親と接する時とかに気づくわけよ。
何が言いたいかっていうと、生活と音楽はめちゃめちゃ近いもので、音楽は音楽だけじゃなくて、生活の一部に音楽があるっていう考え方に変わったかな。

 ──音楽以外のカルチャーへの関心はありますか?

Kouichi これもなんか、音楽に全部繋がっちゃうけど映画だよね。映画とファッションか。ファッションは音楽でも使うし、映画でも使うもの。映画でファッション絶対使うし、音楽がなきゃ映画にならないし。全部繋がってるというか。そこに対して映画から音楽のスタイルとか服の着こなし方とかめちゃめちゃ学んだ。ショーシャンクの空にの刑務所で着てる服とかキャスケットの被り方とか、タバコの吸い方まで、もう全部カッコ良過ぎて。映画だとそういうとこばっか観ちゃう。だから18とか19の時は映画の結末とかまじどうでもよくて。カッコよそうな映画、かっこいい音楽とか。エルビスが出てる映画とかもろそうだけど、人がつまんないっていう結末の映画でも俺はそれがめっちゃ好きだったりする。

 ──大事にしてる価値観はありますか?

Kouichi 人への振る舞いかな。色んな音楽の人たちと触れ合ったりする中で、今の世代、25歳以下の子達と昔の人達って人への振る舞い方がめっちゃ変わってると思う。
ラッパーとかも堂々してる姿がかっこいい。でも俺らの時代ってどんなラッパーでもさ、やっぱりなんか誠実っていうか腰が低いっていうか。それってめっちゃいいなって俺は思って。もしかしたら上の人にさ、アーティストとしてそれは欠けてんじゃないのとか言われるかも知んないけど。誰に対しても自分の変わらない想いはあるけど、挨拶一つでもさ、目合わせて、そういうのがめっちゃ大事だなと思う。人への振る舞いを俺は一番気にしてるかな。

怖そうって言われるんだけど会ったら優しいよみたいな(笑)

 ──将来の展望を教えてください

Kouichi ロックスターって言いたいとこだけど、ロックやってないし(笑)

でも世界で活躍できるエンターテイナーになりたいし、でも映画の主題歌になったり、普通にそのまま売れてとか自分の音楽がどういう風に世界で活躍するかはわかんない。けどとにかくアポロシアターとかでもライブしたいし。アメリカのカルチャー、ルーツを受けてるからアメリカでヒットできるようになりたいかな。
後はやっぱ、家族に対してしっかり音楽で金稼いで恩返ししたい。自分の中で親孝行したいのもそうだけど。なんか他のお金じゃ意味ないんだよ。お父さんからずっと音楽をやってきて、名古屋から上京して、正社員には絶対ならずに今まできて、今もそう。みんなで助け合いながらやってるわけなんだけど。だからこそ絶対に他のお金じゃなくて、音楽のお金で親孝行したいし、AbemaTVとかでお世話になった全ての人に自分の音楽で恩返ししたい。


貫く強さがカルチャー


 ──Culture University TOKYOでは「イケてる」という誰しも持っている「かっこいい」や「憧れ」の価値基準をテーマにしています。Kouichiくんにとっての「イケてる」とは?

Kouichi 自分がやってることに対して本気でいられる人はもちろんかっこいいと思う。後は、また話同じになっちゃうんだけど本当にイケてる人って絶対カッコつけない。良い意味でパフォーマンスしてカッコつけるはあるけど、人間としては絶対に誠実だし、人間として出来上がってる。イケてる人は絶対。

 ──出来上がってる人とはどういう面があるのでしょうか

Kouichi 正直ね、俺が元々めっちゃカッコつけるの、普段。気取ってるしなんか愛想悪そうだし、ってずっとお姉ちゃんに注意されてたの。音楽だけやるってなって本当にかっこいい人って何なんだろうってのも考えてたんだよね。でもそういう人たちっていうのは自分のことよりも人のことを大切にできるっていうか。そういう人が本当にイケてるなって思う。自分の音楽だけど、その音楽で誰かが幸せになるっていうのもそれにつながると思う。自分を犠牲にしてでも人を大切にできる人が本当にイケてるなーって。カッコつけずに誠実な人。これは親にずっと言われてきたけど、本当にそうだなって思う。大人になればなるほど。
どんな世代に対してもお礼がちゃんとできる人とかが本当にイケてる人だなって。

 ──あなたにとってカルチャーとは?

Kouichi カルチャーは、自分の教科書じゃないけど「しるし」みたいな。どこに行ってもどんな違うカルチャーに行ってもやっぱりこれだなって思えるものがカルチャーだと思うし、自分の本当にカッコいいものがカルチャーだし。
でも本当はカルチャーカルチャーって言いたくなくて。俺はカルチャーがあるからこそスタイルが出来上がったけど、カルチャーに囚われすぎずに良いものは良いって言いたいし。なんか、それはアーティストとしてダメだよとかは無しがいいし。ダサイもカッコいいもイケてるイケてないもないなって。
本当にカルチャーを作り上げた人は、ダサイって言われながらもそれをやり続けて、だからそのカルチャーができたわけで。そういう先人達の想いも、自分がやりたいって思ったことを貫ける強さだと思うから。貫く強さがカルチャーなのかなぁ。

 ──ありがとうございました。

彼の言葉からは信念を感じると同時に、謙虚な印象を受けた。家族という環境で活動をしているからこそ、彼は自身を深く理解しているのではないかと思う。
音楽を通して家族や周囲に恩を返したいという想いが生まれるということは、音楽に囲まれて生まれ育ち、現在も共に活動する彼にとっては自然なことなのかもしれない。彼の今後に注目していきたい。

Full performance

取材 Tsukasa Yorozuya
構成 Tsukasa Yorozuya, Taiki Tsujimoto

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