【PERSONAL FILE】Video Creator yuuukizm 「映像に込める、自身の“izm”」

今、注目の若手ビデオクリエイター、yuuukizm。
20歳にしてプロクリエイターとして、数々のHIP HOPアーティストのミュージックビデオやストリートブランドのタイアップ、更には日本トップクラスの美容業界の撮影に至るまで様々な仕事をこなす。
若き彼のプロとしての覚悟やビジョンは多くの人々に刺激を与えるだろう。彼が映像に込めるイズムとは。

※コロナウイルスの影響を考慮し、オンライン取材を実施。

yuuukizmのinstagramアカウント

「どうせ死ぬなら好きなことを」プロとしての覚悟


 ──yuuukizmさん、今回は宜しくお願いします。まずは簡単に自己紹介をお願い致します。

yuuukizm 現在20歳で、東京を中心にプロクリエイターとして映像や写真を撮っています。
仕事は、主にHIP HOP関係の仕事が多いです。ラッパーのPVや、ストリート系ブランドの撮影、ダンスイベントやHIP HOPのライブのカメラマンとしても活動しています。写真もやっていてアーティスト写真の仕事も最近多いですね。

 ──20歳と若いのに職業としてやられているんですね。

yuuukizm 若手のクリエイターの方は趣味としてやられてる方が多いと思うんですけど、自分はがっつり職業としてやっています。

 ──ちなみに名前の由来はありますか?

yuuukizm 特に深い意味はないんすけど、イズムって主義主張っていう意味があって自分をレペゼンするみたいな感じです。あとは自分はマイノリティにいる意識があって、イズムってほんとはismなんですけどs反転したらzになるなって、今思ったらダサいんすけど、そこでマイノリティを表現しました。

 ──それでは、映像関係、クリエイターになったきっかけやタイミングを教えてください

yuuukizm 高2くらいのときに安いカメラを買いました。旅行が好きで、その写真や動画を撮るところから始まりました。築地に行ったりして市場の動画とかを撮ってました。
最初は歴史とかも好きだったんで、街の動画とかも取りたいなーって思ってました。
そうしているうちに、結構いけるかもしれないって思うようになって、どこへ行くにもカメラを持っていくようになりました。
それで高校卒業後、本格的にやってみようと思いました。

 ──その覚悟は簡単に決まりましたか?何かきっかけがあったんですか?

yuuukizm Aviciiの曲聴いた時です。当時は普通の高校生で大学いってサラリーマンになるのかぁ、ってふわっと思ってたんですけど、Avicii“The Nights”というを曲を聞いて、「どうせ死んでしまうから忘れられない人生を送れ」という歌詞で気づかされました。考え方が変わって、好きなことをして生きていきたいと言う覚悟になりましたね。
亡くなった時は本当に悲しかったです。歌詞もPVもめちゃくちゃいいんで聞いてください。今でも大好きなアーティストです。

──プロになる前に趣味でやっている段階で、人と違うなって思うところはありました?

yuuukizm 旅行の動画とか周りのみんなは同じような動画を撮ってる中で、俺はあれじゃないなと思いました。結構カメラを動かす流行りのスタイルじゃなくて、そもそも自分は取りたいものが違う感じがして。自分ちょっと珍しいほうなんじゃない?って感じでした。

 ──その後、プロとしてステップアップした流れは具体的にどのような感じでしたか?

yuuukizm Road tripで広く知られているShurkn Papさんとか般若さんなどのメジャーシーンのラッパーを撮っている先輩に連絡して勉強させて下さいって言いました。そしたら快く来なよ!って誘ってもらって、アシスタントとして働きました。そこで1から10まで教わりました。

 ──それが今の仕事に繋がってるんですか?

yuuukizm そこでの人脈が今の仕事に繋がってます。
売れたてのラッパーと知り合って今度pv撮ってよ!って話になったりしました。
最初の出会いが本当に良かったです。それに限りますね。


「世の中に思うことを映像に入れる。」 
こだわりとメッセージを込めた作品


 ──現在、仕事を受けるプロセスや仕事を選ぶ上での基準を教えてください。

yuuukizm- 基本的には依頼をいただく形なんですけど、ただ一言でお願いします!とかの人はよくわかんないし、やる気が伝わってこないので受けないようにしてます。
それにかけるエネルギーを依頼の段階で表現してくれたり、俺はこれでデビューしたい、売れたい、と強く思ってる人と仕事をするようにしてます。
自分もそこに携わることで、有益だったり、そのアーティストやブランドが上がっていけるような仕事ですね。一緒に力を合わせられる仕事を受けるようにしています。
あとは雰囲気が僕と似てることですね。その二つですね。

 ──私たちが取材のアポを取らせていただくときも、すごく丁寧にコンセプトなどを質問してくださって、そのような姿勢をすごく感じました。引き受けて下さってありがとうございます。嬉しいです(笑)

yuuukizm インフルエンサーとしての取材とかもくるんですけど、ダサいものとかよくわかんないメディアさんにはあまり出ないようにしてます(笑)
今回はコンセプトがいいと思ったので取材していただくことにしました。

 ──いろんな仕事の中でもHIP HOPの仕事が多いことに理由はあるんですか?

yuuukizm HIP HOPはアンダーグラウンドで大きなメディアが通ってない分、事務所とかに所属してるラッパーが少ないというのはありますね。人と繋がりやすい、輪が広がりやすいので、直接仕事につながりやすいです。

 ──同世代で HIP HOP関係の映像の仕事してる人はいますか?

 yuuukizm HIP HOPの映像の人はほぼいないですね。
ただ、HIP HOPの人口が昔に比べて増えてるし、見てくれる人や、実際に活動する人が増えているから、可能性がある仕事だとは思います。
映像の仕事自体も需要は必ず増えてくると思います。

 ──映像クリエイターという仕事は自分にとってどのような意味を持ちますか?

yuuukizm 世の中に思うことをその映像の中に入れる。このようなものを撮って欲しいという依頼の中に様々なメッセージをこめます。よくTwitterに書いてある程度の思想の発信ではありますが、映像の中に入れることで、映像も具体的な作品になるし、世の中に発信できる。そのツールのようなものだと思ってます。
結構練って作ってます。

 ──何か仕事をやる上で意識することはありますか?

yuuukizm 僕のやっている仕事はエンターテイメントなので、楽しくないものはやらないですし、カメラが好きなので、嫌いにならないように仕事してます。金銭面とか色々考えなきゃいけないことはあるんですけど、楽しむことを最優先にしてます。仕事とはいえ楽しくないと続けられないので。

 ──仕事の中での出会いで印象に残る人はいますか?

yuuukizm やっぱり、般若さんとかトップの人になると、みんなすごく優しいんですよね。写真の対応とかもすごく協力的ですね。カメラマンってないがしろにされやすい業種ではあるんですけど、ありがとねーとか言ってくれてすごく印象に残ってます。
テレビとかの印象と全然違うっすね、まさにプロって感じです。
やっぱり、そう言う人見てると、仕事でうまくいったとしても、天狗になりたくないし、ハメ外したくないなって思います。偉そうな態度なんて絶対取れないなと思います。

 ──それではプロモーションビデオの仕事について、具体的にはどのような仕事をしてるか教えてください。例えばこちらの作品ではどのような流れでしたか?

yuuukizm これはN0uTY君から送られてきた曲を聴いて、映像の構成を練りました。このPVではメイクとかのチームを組むところから、撮影、編集まで全てやりました。いわゆる監督ですね。演技とか含め全部考えました。

 ──すごくクリエイティブな仕事ですね。

yuuukizm めちゃくちゃ考えないとできないですね。ただ撮るわけではないです。しかも有名ラッパーの皆さんとの仕事となるとプレッシャーもあります。輪入道さんとかすごく怖そうなイメージですけど、すごく気さくな方で、撮影自体はすごく楽しかったです。

 ──もっとも印象に残ってる作品ありますか?

yuuukizm まあ全部ですね。
挙げるとすれば、一番はじめに少しバズったものですね。5ヶ月くらい前なんですけど、自分が監督をした初めてのMVだったんですけど、八王子のTENT TOKYOっていうHIP HOP crew のSuiのPVでした。出して3ヶ月くらいで10万再生いって、燃えるものがありました。地元のつながりのラッパーの曲っていうのもあって、すごく気合い入れて作りました。
これはストーリー調になってる作品です。出演してもらったモデルも自分の地元の友達で、その子も有名になったり、すごく印象に残ってます。

 ──はじめての監督のPVでこのクオリティと反響はすごいですね。大変でしたよね?

yuuukizm 大変でした。先輩のアシスタントで動くことは多かったですけど、自分が監督でやったのは初めてでした。すごい練りましたね。ポッと出たものを作って伸びない人も多いんで、ぼくはそうなりたくなくて、どうやったら多くの人に見てもらえるかとかすごく考えました。機材集めから始めたんで、すごく印象的です。

あとは、最近撮らせていただいた、多重債務ボーイズのPVです。
自分の中で、有名な多重債務ボーイズを撮ることができたというのは大きな自信になりました。オファーが来てすごく嬉しくて。今までの仕事が認められたなと思いました。


“アーティスト” yuuukizm


 ──将来の目標やビジョンはありますか?

yuuukizm 正直先のことは見えてないです。
でも、たくさんの関わりを増やして、影響力あるものを作っていきたいです。
近い未来では自主制作で社会問題をテーマにした映像を撮りたいです。

あとは、カメラマンって裏側って言うイメージだと思うんですけど、カメラマンも「アーティスト」として対等にいたいっていう目標もあります。
正直カメラマンの社会的地位は納得いってないですね。笑
ただとるだけではなく、撮影のクリエイティブ性を生かして、カメラマンとして自分もフォーカスされる立場になって、影響力のあるものを作っていきたいですね。
こうやって取材受けちゃうと、ちゃんと続けていかなきゃというプレッシャーも感じます。(笑)

 ──僕らのメディアは様々なシーンで活躍しているU-25に取材をさせていただいているのですが、他のカルチャーへの関心はありますか?

yuuukizm- ありますね。ダンス系の仕事もたくさんありますし、ダンサーとよく会う機会が多いですね。
あと、本はよく読むようにしてますね。太宰とか好きです(笑)
HIP HOPって頭よくないイメージあるじゃないですか?
自分はなるべく、色々勉強して柔軟に仕事していきたいなと思ってます。
HIP HOPにとらわれないようにはしてます。
いろんなところにアンテナを伸ばしてます。

 ──その中で同世代で影響を受けてる人はいますか?

yuuukizm- カルチャーと言っていいかわからないんですけど、地元で毎日職人として仕事してる人達ですね。
5時起きとかで週6とかで働いてて、俺絶対できないなって。
自分は安定した職業じゃないので、毎日ちゃんと稼いでる友達にも負けてらんないなって思います。
あとはSuiっていうラッパーですかね。
ずっと知ってる仲間が売れていくの見てると、感慨深いですね。刺激的です。

 ──それでは、最後に皆さんに伺っている難しい質問なのですが、「カルチャー」とは?

yuuukizm- カルチャーは人に影響を与えていくものですね。
俺は映像のカルチャーにいるので映像を作る人として、映像を通して人に影響を与えたいと思います。自分が音楽というカルチャーに影響を与えられた身なので。

 ──ありがとうございました。

FIN.>

取材・構成 Taiki Tsujimoto
アシスタント Shun Kawahara, Tsukasa Yorozuya

撮影 衣装提供:UpDown
“Change yourself”をコンセプトに
年齢やルールに縛られる事なく
自由な世界を創造していく。