
美容師として活躍しながらアートとしてメイクアップを手掛けるRen(19)。今回は彼の友人であるダンサーのRikiyaをモデルに招き、実際にメイクアップをしてもらいながら仕事やメイクアップ、カルチャーへの思いを聞いた。独創性あふれる彼の作品作りを裏付ける価値観や考え方が明らかになった。
人を魅せるアート
──初めに現在の活動について教えてください。
Ren 今は地元のサロンで働かしてもらってるのと、ヘアメイクをしたり映像を撮ったり写真を撮ったりしてます。ラッパーのPVだったりダンサーの舞台のメイクだったりが多いんですけど、将来的にはファッションブランドとかにも携わりたいです。
──最初に美容師になりたいと思ったきっかけは何ですか?
Ren かっこいいからです(笑)たまたまYouTubeでヘア系の動画が流れてきて、なりたいなーっていう感じです。
──サロンでのお仕事以外にも様々な活動をなさっていますが、それに至った経緯はどのようなものでしょうか。
Ren 元々美容師になりたくて、専門学校に行ってました。でも学校でヘアメイクとかを学んでいくうちにヘアスタイルとかよりもっと自由に表現できるものを見つけられたっていう感じです。


──学校で学んだ事でいきていることは?
Ren 特にないかもしれません(笑)あんま学校が好きじゃなくて、実はあんまメイクの勉強とか学校でしてなくて。独学で身に着けたことが多いです。実験して、自分で試したりモデルさんとして友達を呼んだり。
──メイクのおもしろさや魅力はどこですか?
Ren メイクも色んな種類があるんですけど、人をかっこよくしたりかわいく魅せるものだなって普段色んな人を見て思うじゃないですか。だから日常的にどう魅せようかを考えながら生活できます。常に人に関心があって、単純にかっこいい人とかかわいい女の子とかを観るのが好きで。あとはやっぱり、人の顔をいじったりヘアをいじったりするから、モデルさんが新しいものに出会ってもらえたら嬉しいなって思います。
──本格的にこういうメイクを始めたのはいつですか?
Ren 高校からですね。友達のMVをやった時です。もともと学校でメイクをやってて、そしたらメイクできるんでしょ?みたいな感じで頼まれました。

──今まで何人くらいにメイクしましたか?
Ren 日常的にやってて、ちょっと数えるのは難しいんですけど、、100人くらいですかね?(笑)
Rikiya(モデル) GKKJ(ダンスイベント)の時相当やったよね?
Ren 40人とか?
Rikiya Amami Queenさんのナンバーにゲストで出たときにAmami Queenさんがこういうメイクをしたいって急に見せてきた画像が、「誰もこんなのできるわけないやん!」みたいなメイクで。でもRenにお願いしたら、その日4時間くらいで出演者みんなのメイクやってくれました。(笑)
──すごいですね、、(笑)そのようにたくさんの人のメイクに携わっていく中で学んだ事ってありますか?
Ren なんだろうな、そんなおしゃれなこと言えないですけど、色んな人がいるなっていう事です。あとは、ファッションとか聞く音楽とか見る絵とかアート作品とか、そいうのを色んな人と共有できるなって思います。人と一番近く関われるんで。
──メイク中や美容師としてなど、お話しすることも大切にしてますか?
Ren お話はすごい好きです。
──定番のトークテーマとかもあるんですか?(笑)
Ren 音楽とかはみんな誰とでも話すかも。あとはYouTuberとか(笑)
──普段はどんな音楽を聞くんですか?
Ren HIPHOP聴きます。結構何でも聞くんですけど、自分が一番好きなジャンルはクラシックとか。何か聞く音楽がなさ過ぎて、何聞こうってなった時にクラシックだなって。リラックスしたいっていうか、落ち着く音楽が好きで。なんかずっと音楽を流してたい人なんで、うるさい曲をずっと流したくない。
みんな好きにやっていい
──今回の取材が以前C.U.Tで取り上げさせていただいたyuuukizm君(yuuukizmの記事はこちらをクリック)の紹介だったのですが、yuuukizm君との出会いは?
Ren sui君っていうアーティストがいるんですけど、そのsui君のビデオのヘアメイクを頼まれて、そっから仲良くなったっていう感じです。あとは、自分が映像始めるってなった時にいろいろ教えてくれました。
──yuuukizm君とコラボしたsuiのPVでのメイクのコンセプトは?
Ren あれはもう自由に自分が思った通りに表現してみたみたいな。その時の感性と、sui君のリリックを聴いて「自由」だなと。ファッションとかの自由を歌ってたんで、男の人がメイクする事に対しての自由とか。髪の毛に関しても、別に髪の毛に何ついててもいいなっていう。
──今日のメイクのコンセプトはいつ思いついたんですか?
Ren これは、こないだたまたま寝る前に人っていつか死ぬんだなみたいに思って。それで生きてる間に色んなことを経験したり、哀しい思いとか嬉しい思いとかするじゃないですか。それで、生きているうちに色んな傷がついていくっていうのを表してます。

──作品やメイクのインスピレーションはどこからですか?
Ren 日常生活で感じている事とか、後は何か誰かの音楽とかそれこそなんかアート作品とかなんでも結構メイクにつなげちゃったりしてます。日常生活の中にメイクがあって、あ、これメイクできそうとか。結構常に意識してます。
──今後発信したい事はありますか?
Ren なんかいろんな意味でみんな好きにやっていいという事ですかね。「自由」みたいなのが根底にテーマとしてありますね。
──自分の作品の世界観に合わせてモデルに要求することもありますか?
Ren 結構しますね。こう作ったからこういう表情してとか。こういう表情してとかじゃなくてもどんな時のどういう感じとか。今回は穢された悲しさみたいな。
カルチャーとは、ボーダレスに関わりあうもの

──アーティストとして大切にしている価値観ありますか?
Ren 自分が作ったものに対して何か否定されても自分はあんまり気にしなくて、逆に誰かが作ったものに対してあんま否定しないです。言っちゃえば全部芸術の世界で間違ってることって多分ないし、その人が感じたように表現すればいいと思ってるんで。みんながこうやってるから俺もこうやろうみたいなのはないです。
──批判とかも多少はあると思うんですけどイライラしない?
Ren 見てくれてありがとうっていうか、自分の作品に対して好きか嫌いかを判断してくれるっていう感謝の方が大きいです。好き嫌いってどうしてもあると思うんで、目を通して判断してくれたっていうのが嬉しいっていうか。
──将来の目標や夢はありますか?
Ren 世界の人たちと楽しく色んなものを色んな形で表現していけたらなと。国内でも国外でも同じ人間として色んなものを色んな人たちと作りたいっていう気持ちがあります。何かに対して一番になりたいとかはないんで。
──海外へのこだわりがあるんですか?
Ren こういうアートに近いメイクって海外の方が多いし、やっぱ表現力の部分で面白いなと思うことが多いんですよね。メイクに対してとか関係なしに、海外って面白いなって。日本人だからそう思うのかもしれないんですけど。
──メイクアップアーティストの存在が広がって欲しいという思いはありますか?
Ren 特にないです。本当に自分が好きでやってるっていう感覚なんで観てくれたら嬉しいですけど、変にそういうのはないです。アピールしまくることはない。 インスタグラムとかもそうなんですけど自分がやりたいことだけやってて、観てくれるんだったら見てくださいというか、観てくれたら嬉しいくらいの感じでやってます。
──あなたにとって、カルチャーとは?
Ren メイクに関してはどんなジャンルの人とでも関わっていけると思うんで、その色んなカルチャーを知って、それを自分のものにしていくことがカルチャーだと思います。ボーダレスに関わりあうものですね。
──ありがとうございました。

取材当日に彼が施したメイクは3段階に分かれており、人の死を表すものだった。19歳という若さで、自身の感覚を作品に転化するその姿は堂々としており、魅力的に感じた。ただ、メイクが終わると19歳らしい爽やかな笑顔で場を和ませた。今後も彼は多くの人の人生に関わり、アーティストとして作品を残し続けるだろう。
Special Thanks
Rikiya
yuuukizm

取材:Taiki Tsujimoto
構成:Tsukasa Yorozuya, Taiki Tsujimoto