
2021年10月19日から23日で渋谷ユーロライブ・LOFT9にて開催された学生による学生のための映画イベント、第32回東京学生映画祭が幕を閉じた。
Culture University TOKYOは、全国から募集した224本の学生映画の中から「グランプリ」を決定する今イベントにて受賞者・運営代表・審査員それぞれにインタビューを行った。
【第32回東京学生映画祭授賞者速報】
グランプリ授賞作品
『大鹿村から吹くパラム』/ 金明允

김명윤(金明允/KIM MYOUNGYOON)*下記にインタビュー記事を掲載しております。
韓国から留学し日本映画大学に所属。
https://twitter.com/myungyoon2?s=21
準グランプリ受賞作品『夏だまりの家』
/石井梨帆

石井梨帆(ISHII Riho)
1997年生まれ、茨城県出身。中学時代に、映画・小説・アニメなど多岐に渡る物語に触れ、物語を生み出す憧れを抱くようになりその道を志す。高校時代より映像・映画制作を始める。監督作に『軌跡が居る』(2019)がある。
https://twitter.com/natsudamari0812
審査員特別賞・観客賞受賞作品
『また春がきやがって』/ 堀内友貴(HORIUCHI Yuki)

堀内友貴(HORIUCHI Yuki)*下記にインタビュー記事を掲載しております。
東放学園映画専門学校映画制作科在学。
過去作に8月31日から9月1日にかけての若者たちの群像劇、『明ける夜に』 など。
https://twitter.com/natsuake_movie?s=21
審査員特別賞『トエユモイ』
/福岡佐保子・はまださつき

福岡佐和子(FUKUOKA Sawako)、はまださつき(HAMADA Satsuki)
福岡佐和子:日本大学芸術学部 映画学科在学。
はまださつき:日本大学芸術学部大学 演劇学科在学。
大学で出会い、2020年から映画製作に踏み出す。
https://twitter.com/shidoromodori
審査員特別賞 『素敵なあなたに』/染谷夏海

染谷夏海(SOMEYA Natsumi)
武蔵野美術大学卒業。
https://www.instagram.com/numsumme/?hl=ja
【授賞者インタビュー】
グランプリ授賞作品
『大鹿村から吹くパラム』/ 金明允
──グランプリを受賞されての率直なお気持ちをお聞かせください。
金明允 韓国にいるときから映画をやっててうまくいかないことも多かったんですが、自分の国じゃないところで認められたことに、大きな勇気をもらいました。本当にありがたい気持ち半分、2作目作る自信ないけど大丈夫かなっていう気持ちです。
大鹿村でまだ上映できてないので、大鹿村の皆様に感謝を述べたいです。
──これから作品を見る人へのメッセージをお願いします。
※入選作品はU-NEXTで配信予定
金明允 映像が溢れている世界じゃないですか?誰でもどこでも映画が見れる世界ですけど、だからこそたまにはこういうリズムが違うドキュメンタリー映画をいい音と画面でみて、南アルプスの大鹿村の空気を感じてもらいたい。
──東京学生映画祭を振り返っての感想をお願いします。
金明允 学生さんたちの温かい気持ちや、映画を作りたい純粋な気持ちが伝わってくるイベントでした。
0から1を作ることは難しいけど、その姿勢を皆様に教えてもらった。そういうのも一つの絆なので、たくさんの友達ができた気持ちです。感謝でいっぱいです。
審査員特別賞・観客賞受賞作品
『また春がきやがって』/ 堀内友貴(HORIUCHI Yuki)
──審査員特別賞・観客賞を授賞されての率直なお気持ちをお聞かせください。
堀内友貴 あんまり期待しないで来たというか、今年名前売って来年グランプリとれたらいいなとおもっていたのでW受賞できてびっくりした反面、
それこそ城定監督とかに刺さったらいいなーと思っていたので、嬉しい気持ちです。
──これから作品を見る人へのメッセージをお願いします。
※入選作品はU-NEXTで配信予定
堀内友貴 平成の後期に生まれて育って、令和を生きる若者たちの青春映画をずっと撮りたくて、大人に対する不満とか社会に出る恐怖を写した青春映画が撮れたんじゃないかと思います。やりたいことは詰め込んでやれたんですけど、至らない点はたくさんあると思うので温かい目で見て欲しいです。
映画を作る以上批判される覚悟をもって作ってますけど、全然気を張る映画じゃないので、お酒を飲みながら一緒に笑いながら見てもらえたらいいなと思います。
──東京学生映画祭を振り返っての感想をお願いします。
堀内友貴 すごい感謝してます。
東京学生映画祭に入選したことで、次の作品に繋がったこともすごいあったし、
色んな作品を観て、自分が思ってたより映画って自由だし、色んな作品があって全部映画なんだなって改めて感じて、もっと自由に作ってもいいのかなと思わせてもらいました。
【審査員インタビュー】
城定秀夫

城定秀夫(JOJO Hideo)
武蔵野美術大学在学中から8ミリ映画を制作。2003年『味見したい人妻たち』で映画監督デビューし、同作品で2003年度ピンク大賞新人監督賞を受賞。代表作に『静かなるドン 新章』、『18倫』など。
https://twitter.com/jojohideo1975?s=11
──映画祭を終えての感想をお聞かせください。
城定秀夫 18本くらい観て、映画に対する思いみたいなのを思い出させてくれた。すごく刺激的でした。
──学生映画ならではの良さとはなんでしょうか?また、どういった基準で審査されたのでしょうか?
城定秀夫 自由さだと思うんですよね。
そういう作品を選ぼうとは思いつつ、そればっかりでうちばっかり向いてるのは独りよがりな感じはしてて、かといってプロを意識したものだと学生映画としては物足りなさも感じるみたいなところで。
一概には言えない感じですね。
でも、最終的な基準としては面白いか面白くないかだと思うんですよね。
プロができない面白さみたいなのが一点でもあればいいのかな。
──これからの東京学生映画祭に期待することはなんでしょうか?
城定秀夫 ずっと続けてって欲しいなと思いますね。助監督からプロの映画監督になるというコースが、僕らの世代からすでに危うい状態に日本映画がなってる訳ですよ。
だからこういう映画祭みたいなところから出てくる才能を拾っていかなきゃいけないなと思うので、辞めないでほしいですね。
坂本安美

坂本安美
東京出身。『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』誌元編集委員。『カイエ・デュ・シネマ』本誌とともにフェスティヴァル・ドトーヌにて黒沢清、青山真治、篠崎誠、諏訪敦彦ら日本の監督たちを紹介。
2020年には東京フィルメックス映画祭、ヨーロッパの若手監督の登竜門、アンジェ・プルミエ・プラン映画祭短編部門の審査員を務める。
著書は『エドワード・ヤン 再考/再見』、『そして映画館はつづく』(共著、フィルムアート社)など。
https://twitter.com/elleawatson?s=21
──映画祭を終えての感想をお聞かせください。
坂本安美 学生が運営してるってことでどんな映画祭なのかなと思ってたんですけど、新しい、若い世代の監督の作品と、それより上の世代の方々の作品を一緒に上映されて、またトークも組み合わさって世代を超えて交流する場もあって、選ばれた作品も力があって才能を感じさせる作品でした。
観るのも正直大変だったんですが、いまは参加できたことをうれしくもありがたくも思っています。
──どういった基準で審査されていたのでしょうか?
坂本安美 撮ってらっしゃるてる方がどれくらい切実にこれを撮りたいとか、これを語りたいと思っているかってやっぱり伝わります。
映画はアートであり大衆的娯楽であるから、映画の持つ可能性あるいは限界をどのくらい意識してらっしゃるかどうか、そしてそれが語りたいこととどう調和しているかを見させて頂きました。
──これからの東京学生映画祭に期待することはなんでしょうか?
坂本安美 映画の面白さって、観てそれを語る場があって、そのフィードバックがあってまた作品が作られるというか。
映画は特にそれが大事だし、ずっと繋がっているので、そういう部分を大事にしながら映画祭というイベントを開催していただければなと思います。
柴崎友香

柴崎友香(SHIBASAKI Tomoka)
小説家。2000年刊行の初の単行本「きょうのできごと」が2004年に行定勲監督により映画化。2007年「その街の今は」で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、2010年「寝ても覚めても」で野間文芸新人賞(2018年に濱口竜介監督により映画化)、2014年「春の庭」で芥川賞受賞。
近著に「百年と一日」「千の扉」「パノララ」、岸政彦との共著「大阪」など。
https://twitter.com/shibasakitomoka?lang=ja
──映画祭を終えての感想をお聞かせください。
柴崎友香 誰も観たことがない映画を見られるっていうのは自分にとっても刺激になるし、楽しい経験でした。
学生が運営していて、同じ目線で作品を選んだりしていて、横の繋がりができるのがすごくいいなと思います。羨ましいです。
──どういった基準で審査されていたのでしょうか?
柴崎友香 今の作り手がこういうものを作りたいっていう気持ちがどういう表現に写っているか。
それがうまく繋がってる作品がよかったかなと思います。
──これからの東京学生映画祭に期待することはなんでしょうか?
柴崎友香 本当にすごく良いイベントというか、貴重な機会だと思うので、もっと幅広い人に見られたらいいなと思います。ますます盛り上がってほしいです。
【オーガナイザーインタビュー】
浅野ジーノ/オーガナイザー
浅野ジーノ
2000年生まれ、早稲田大学在学。東京学生映画祭代表。
小説執筆や記事制作なども行う。
https://note.com/jinofields/
──運営を終えての今のお気持ちは?
浅野ジーノ 今年五日間あったのでやっと終わったというのがまず感想です。1年間かけてじっくりやっていく中で、交流の場を設けたりなど、やれることはしっかりやって終われたのかなと思います。
──改めて、東京学生映画祭には、どんな意義があると思いますか?
浅野ジーノ この映画祭は学生映画を取り扱っているのが特徴でして、学生は未熟な存在です。
社会人として映画を作りたい人が少なくなっている現状の中でいかにそういう学生が実際に映画業界で働いてる方々と触れ合う機会を作るとか、お客さまに観てもらう機会をつくれるかっていうところに映画祭はやる意義があったと思っています。
柳川碧斗/ディレクター
──運営を終えての今のお気持ちは?
柳川碧斗 上映のトラブルも多少あったんですけど、最後までやれて良かったと思いますし、400人ほど一般のお客様にも来ていただけて良かったと思います。
──改めて、東京学生映画祭には、どんな意義があったと思いますか?
柳川碧斗 色んな映画祭がオンラインだとか規模を小さくしてますが、やっぱりあらゆるイベントに対面でやる意義があると思います。
それはやっぱり今まで出会わなかったひとが出会うことだと思います。
上映会にしても交流会にしてもそういう場面がみれたのはよかったと思います。
*写真・プロフィールは一部東京学生映画祭HPより抜粋しております。