【Nerd’s Records】ナーズ=レコーズ
誰しもが持っている好きなものへの知識欲。
それを追い求め続け、愛を深めた「オタク」たちが存在する。
Nerd’s Recordsではそんなオタクたちの記録を発信していく。
今回のナードは、駆け出しのアーティストのMVを制作する学生クリエイティブグループ「Catch Fish」のメンバー。主にSound CloudラッパーのMVを制作している彼らだからこそ見つけることのできた、個性的で才能豊かなアーティストたちを紹介してくれている。記事を読むだけでなく音源を聴き、MVを視聴して、新たな才能を発見してみてほしい。
2010年代後半XXXTentacionやLil Peep、Juice WRLDなどに代表されるように、Sound Cloudに曲を投稿していたラッパー達が一気にスターダムへと駆け上がっていった。彼らの音楽はSound Cloudラップという一つのジャンルを築き上げ、2010年代のヒップホップシーンの一大現象となった。
この現象はヒップホップの母国アメリカから遠く離れた日本でも起きていて、私はそんな新しい音楽の形に注目をしている。Tohji、LEXや(sic)boyなど様々なラッパーがSound Cloudから羽ばたき、すでに日本のヒップホップシーンを席巻している。そして今、彼らのようにいずれ日本を代表するアーティストとなり得る存在がSound Cloudに多く存在している。Sound Cloudから活躍の幅を広げようとしている注目のラッパー達をここで紹介したいと思う。
(はじめに断っておくが、ここで紹介するアーティストや曲のことをカテゴライズして分けるかのような表現に違和感を覚える人がいるかもしれないが、私も同様の違和感を感じながらこの文章を書いている。そもそも音楽を文章で表現することは不可能に近い。それでも自分の好きなものを少しでも多くの人に知ってもらいたくてこの文章を書くことに決めた。そのため、分かりやすい表現に収まってしまっていることを謝罪するのと同時にご理解を頂けたらと思う。)
Yokai Jaki
最初に紹介したいにはYokai Jakiだ。現在のSound Cloudそしてヒップホップシーンを語る上に置いて彼の存在を外すことはできないだろう。Yokaiという名前の通りリスナーに恐怖すら覚えさせる攻撃的なスタイルがYokai Jakiの音楽の特徴だ。ひたすら「ボケ」と「死ね」を連呼する”ボケ死ね!”は多くのリスナーを震撼させ、一気にYokai Jakiの名前を日本中に知らしめた。シャウトやデスボイスに歪んだベース音が合わさり、そこにラップが入ったかと思えば、会話のようなパートに急に変わるなどヒップホップともパンクともメタルとも形容し難い、ある意味無茶苦茶とも言える独自の音楽を生み出すことができるYokai Jakiは唯一無二の存在と言える。つい先日、公開された『CHUCK!』のミュージックビデオでは曲の激しさもさることながら、その映像も信じられないほどの破天荒な内容だった。本当のYokaiのように見るもの見たさで閲覧するのもありだが、見るときは心して臨んでもらいたいと思う。

Sound Cloud: https://soundcloud.app.goo.gl/hQbFGVkZJpU1RQf87
Instagram: https://www.instagram.com/yokaijaki_/?hl=ja
Twitter: https://twitter.com/yokaijaki
『CHUCK! 』(MV) : https://youtu.be/6ysOsWeKfvk
STARKIDS
次に紹介したいのはSTARKIDSだ。STARKIDSはSpace Boy、TAHITI、levi、espeon、Lil Roar、BENXNIの6人からなるヒップホップグループだ。ヒップホップグループの多くは地元が同じメンバーなどで結成されることが多いがSTARKIDSの結成の経緯はかなり特殊だ。メンバーのSpace Boyとespeonはアメリカのハワイ出身でつい最近までハワイに在住していた。当時ハワイに住んでいたSpace Boyが日本にいるTAHITIとSound Cloud上で知り合い意気投合し、日本の大学への進学をきっかけにSpace BoyはTAHITIと日本で曲を作るようになった。その後、グループを結成するためにSpace Boyはその他のメンバーにSound Cloud上でDMを送ったり、ライブで知り合った際にグループへの勧誘をするなどして現在のSTARKIDSができた。様々なバックグラウンドを持つメンバーによって構成されているSTARKIDSは曲の中でもメンバーの個性が爆発している。彼らの曲である『STAR ISLAND』では3:12という短い時間の中で入れ替わり立ち替わりボーカルや言語が変わり、ヒップホップというアメリカのサウンドに日本のゲームの効果音が散りばめられているなど異文化が複雑かつ完璧に交わることでSTARKIDSにしか出せない楽曲が完成されている。日本やアメリカといった次元ではなく星の上のような私たちが見たことのない場所にまで登りつめうるその名の通りヒップホップ界の超新星だ。

Sound Cloud: https://soundcloud.app.goo.gl/QyV52DSNE1VCQzYa8
Instagram: https://www.instagram.com/starkidsjp/?hl=ja
Twitter: https://twitter.com/starkidsjp
『Star Island』 (MV) : https://youtu.be/q7dfgMVTC3c
Lilniina
愛知県出身のLilniinaはラップだけでなくトラックメイキングそしてギターをも駆使する注目の女性ラッパーだ。ヒップホップに出会うまではグランジやパンクなどのロックを聴きバンド活動をしていたが、Lil PeepやXXXTentacionを親や友達の影響で聞くようになり今までヒップホップに対して抱いたイメージが一転し、ラップの世界にのめり込むようになった。『We wanna die together (feat. Duke of Harajuku)』はそんなLilniinaのバックグラウンドが全面的に出た曲と言えるだろう。ビートはパンクを彷彿とさせるようなディストーションの効いたエレキギターがメインだ。そこにEmo Rapの影響を感じるフロウでグランジ譲りのダークな歌詞で歌い上げられている。このように聞くとコアな音楽好きでないといけないのかと思ってしまうかもしれない。しかし、『Gotcha!』のようにキャッチーで多くの人が乗れるような曲もあり、元々の音楽センスの高さが伺える。また、『Gotcha!』のミュージックビデオでは素朴で可愛らしいLilniinaのを見ることができるのでそちらも必見だ。コアなヒップホップファンから普段あまりヒップホップに親しみがない人まで多くの人を魅了できる注目の女性アーティストだ。

Sound Cloud: https://soundcloud.app.goo.gl/nVy93mxvZsdCjk4J6
Instgram: https://www.instagram.com/lilzzz27/?hl=ja
Twitter: https://twitter.com/LilZzz27
Gotcha! (MV): https://youtu.be/5JpeTIkUBYI
izolma
最後に紹介したいのはizolmaだ。ロングヘアーがトレードマークのizolmaは現在クラシックミュージックを学ぶためにフランスのストラスブール音楽院に留学中。そんな影響もあってか彼の魅力はヒップホップというジャンルに囚われない変幻自在な音楽センスだ。『RUNNING TOKYO』のようにまるで東京のネオン街を駆け抜けているかのような疾走感のあるサウンドの曲から『Dry flower』のようにフランスの田舎町で佇んでいるかのようなノスタルジックなサウンドまで幅広い世界観をリスナーに届けることができる。日本を離れ遠いフランスの地で音楽に対し真摯に向き合って新しい音楽を研究し、ネットを通じ積極的に音楽を製作している次世代型のアーティスト像を体現しているizolmaの今後の活躍に目が離せない。
そんなizolmaがfeaturingで出演をしているFLASHの『CASINO!!! (feat. izolma)』という曲もまたおすすめの曲の一つだ。カジノを連想させる煌びやかなビートにFLASHのオリジナリティ溢れる声とフロウからizolmaが華麗に自身のバースを歌い上げる2人のコンビネーションが際立つ曲となっている。この曲はもちろんSound Cloudで聞くことができるがYouTubeでもこの曲を聴くことができる。私(著者)が運営するYouTubeチャンネルのCatch Fishにてこの曲のリリックビデオが公開されている。Catch Fishチャンネルでは自身らで制作したヒップホップのミュージックビデオが掲載されていて、もっとヒップホップを知りたい人はぜひチェックしてほしいと思う。

Sound Cloud: https://soundcloud.app.goo.gl/uCNXKnADkZ1mzZJ86
Instagram: https://www.instagram.com/_isolement_/?hl=ja
Twitter: https://twitter.com/_isolement_
CASINO!!! (MV): https://youtu.be/wKqpqsZvIqI
今回紹介したのは広い日本のヒップホップシーンの中のSound Cloudを中心としたほんの一部分にすぎない。日本のヒップホップシーンは想像以上に奥が深く、バラエティに富んでいる。今回改めて曲を聞き直してまだまだ知らなくてはならないことがたくさんあると再認識できた。より一層このカルチャーに浸かっていきたいと思うのと同時に少しでも多くの人にヒップホップの良さが伝わればと思う。
Catch Fish SNS
YouTube: https://m.youtube.com/channel/UCQAwh_yXsMe2bRvaIGeljtQ
Instagram: https://instagram.com/catch_fi_sh?utm_medium=copy_link
Twitter: https://mobile.twitter.com/catch_fi_sh
【募集要項】
Nerd’s Records では自身の好きなもの・熱中しているものに関するコラムを募集。
Z世代(1995年以降に生まれた世代)の若者なら誰でも応募可能。※匿名での寄稿も可能
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“【Nerd’s Records】#4 日本のSound Cloudヒップホップシーン” への1件の返信