【CHILL OUT SESSION vol.6】川口千里 (Drummer) × Rinka (Human Beatboxer)

対談 川口千里 (Drummer) × Rinka (Human Beatboxer)

異なるカルチャーシーンで活躍する2名がチルタイムを共有し、お互いのカルチャーや人としての共通点を探す対談企画。リラックスした空間でコミュニケーションを深め、カルチャーの融合、新たなクリエイティブの創出を目指す。

vol.6では、ドラマーの川口千里とヒューマンビートボクサーの Rinkaの2人を迎え、プロに至った経緯や女性としての強み、業界の発展と個人の野望にある葛藤などについて伺うことができた。


川口千里
ドラマー。5歳からドラムを始めると徐々に頭角を表し、13歳の若さで世界的なドラム関連サイト「ドラマーワールド」で世界トップドラマー500人に選出される。YouTubeでのドラム演奏動画は総再生回数はおよそ4000万回と世界中から注目を集めている。現在は世界中を飛び回りながら単独ライブを、トップミュージシャンとの共演をしたりと、国内外を問わず多彩な活動をしている。

Senri Kawaguchi Official Website


Rinka
ヒューマンビートボクサー。小学生の頃からビートボックスを始め、女子高生ビートボクサーとしてVineで注目を集め、Japan Beatbox Championship 2015 Female Battleにて優勝し、初代日本女王となった。その後ニューヨークに留学し、スキルを磨いている。世界的に有名なダンサーLes Twinsと共演したり、アニメ寄生獣でミギーの効果音を担当したりなど、幅広く活動している。


 ──現在の活動について教えてください。

Rinka 普段はビートボックスの講師とかをしてて。今はコロナの影響でライブとかは一番飛沫とかがダメなんでやってないんですけど、基本的にレッスンがメインですね。千里さんはどんな活動をされてるんですか?

川口 今はちょうど最新アルバムを出してばっかりで、私にとっては4枚目のソロアルバムになるんですけど。ありがたいことに何枚か出させてもらってて。『Dynamogenic』っていうアルバムを出させてもらって、今はそのPRというか、より多くの人に聴いてもらえるように、ツアーを、対策とりながらさせていただいたり。この状況になってもゲーム音楽とか、そっちはまだ動いてるので、そっちのレコーディングとかはコロナ禍になってからも色々やらせてもらったりはしてます。

 ──Rinkaさんのパフォーマンスをみていかがですか?

川口 あんだけ低音が出るのがすごいなと思っていて。実は女性の方をみるの初めてで、そこまで低音が出るんだっていうのにびっくり。

Rinka そうなんですよね。結構やっぱり男性と女性で出せる部分とか出せない部分があって。

川口 え、変わるんですかやっぱり?

Rinka ありますね。

川口 女性ならではのサウンドとかもあったりするんですか?

Rinka そうですね。例えば高い音とか逆に男性が出せない。

川口 例えばこんな音みたいなやつとかあったりするんですか?

Rinka 普通に高い音とかですね。

川口 それ確かに男性だと難しい。

Rinka もちろん男性でも出せますけど、ある程度決まってるじゃないですか、出せる音域が。

 ──千里さんのパフォーマンスをみた感想は?

Rinka ドラムあんまり生で見ることが今までなくて。ていうのもサポートとかでギタリストの方とかシンガーの方とかと一緒にやったりするんですけど、大抵ドラムの役割をするで。だから、生で聞くとやっぱり違いますね。結構疲れません?手とか。

川口 実はコツがあって。

Rinka めちゃくちゃ腕細いですよね?

川口 そうなんですよ。本当はチャドスミスっていうレッチリのドラマーみたいにマッチョになりたかったんですけど。

Rinka なりたかったって(笑)

川口 ドラムってじゃあ筋力で叩いた場合にいい音がするかっていうと、実は意外とそうでもなくてですね。叩いた時に、どこにドラムのシェルをしならせるかどうかっていうのが結構大事なんですけど。力技でガッといった場合に開放的になってくれないので、鳴りがいいかといわれると意外とそうでもない、という意味で。女性はそれに頼りようがないので、むしろ良い音で鳴らすっていうスタート地点に関しては女性の方が実はメリットがあるのかなって思うことが多いですね。

 ──活動を始めたきっかけについて教えてください。

Rinka 元々ダンススクールでダンスを習ってて。結構長い間ダンスをやってたんですけど、たまたまダンススクールにビートボックスのクラスができて。ちょっと面白そうだなと思ってやってみたんですけど。そのタイミングで足を悪くしちゃって、もう踊れなくなっちゃったんですね。それでじゃあビートボックスやろうかなと思ってやってたんですけど、やっぱりその時って、もう10年以上前なんですけど、周りに男の人しかいないしYouTubeとかみても女性がやってるのってなかなか無くて。

川口 そうですね、あんまり見ないかも。

Rinka だから、そんなに本格的に自分もそんなに上達しないんだろうなって思ってたんですけど。中学1年生くらいの時にビートボックスのイベントを見に行ったらすっごい綺麗な女性の人がバトルに出てて、勝ち上がってたんですよ。そん時に自分のスイッチを押された感じで。私も頑張ればここまでできるんだ、みたいな。それで本格的に頑張れましたね、私は。

川口 私はそんなかっこいい経緯がなくてお恥ずかしいんですけど(笑)父がメカオタクで。大好きなんですよ。カメラとか買うと分解してしまうんですよ。そんな父が電子ドラムっていうエレクトリックドラムを買ってきてくれて。買ってきてくれたんじゃないな。彼の趣味の為に彼が買ってきたんですね。

Rinka それも分解しようとしてたって事?

川口 分解したんですよね(笑)結果。

Rinka すご〜(笑)

川口 構造が分かっちゃって、自分はいざやってみても叩けないわけですよ。それで、どうしようかなーって。「おもちゃだぞ、お前らの為に買ってきてやったぞ」って言って、私はそれをおもちゃとして遊び始めて。それで結果私がそれにハマって、そこから、5歳からドラムが趣味みたいな感じになって、今に至るって感じがありますね。

Rinka 凄い、じゃあ、お父さんの趣味のおかげでここまで。

川口 本心ではありがとうって言いたいような…複雑な気持ちが。

Rinka 全然ありがとうですよ、すごい。お父さんに感謝ですね(笑)

川口 そうですね…ちょっと利用された感があるけど(笑)でもすごい素敵なきっかけをくれました

 ──ドラム・ビートボックスの魅力は?

川口 最初は純粋に、シンプルに叩けば音が鳴るし、ギターみたいに押さえないといけないとか、ピアノみたいに型があるとか意外とそういうのがなかったっていうのがあって、最初そこがすごい入りやすいっていう意味で、すごくいいところだなっていうのは個人的には感じてて。大きくなってから、ちゃんと意識して叩くようになってからは、例えばバンドを見てる時に、ドラムとベースが上手だったら多少上物がやっちゃっても聴いていられるじゃないですか。

Rinka たしかに。

川口 でも逆って聞いてられないと思うんですよ。もう曲として着地できないというか。それに年々気付き始めて。やっぱりどうしてもステージ上後ろにいるけど、かなりバンドの中では責任重大なんだなっていうのを感じて、そこはドラムの魅力の1つかなと

Rinka たしかに。ビートってもう皆がのる中心というか、メインになりますもんね。

川口 そうですよね。

Rinka 私は、どこでもできる所ですかね。

川口 そうですよね!今日も入り時間私の方が早かったですからね(笑)

Rinka 本当に口だけなので。何もいらないですから(笑)

川口 来て、マイク持って。

Rinka もうそれだけですね。

 ──海外での活動を通して感じた日本との違いなどは?

川口 日本人って周りを気にしちゃうんですよね。集団として生きてきた歴史があるので。例えば、私みたいなマイナードラマーが出てきて、いい演奏をしたとしても、ちょっと周りを見て、「あの人は何もリアクションしてない、じゃあ私もやめとこ」みたいなのがちょっとあるじゃないですか。

Rinka たしかに、ありますね。

川口 そこが、海外はやっぱないんですよね。ある意味怖い事でもあるし、素直じゃないですか、なんにでも。下手くそだったら下手くそって言われるしで。なので、その素直さみたいな。「あ、今日、経演奏上手くいったんだな」っていうのが素直に返ってくる心地良さみたいなのは海外で活動すると、より体感できる要素かなって思います。

Rinka 私もそれは感じますね。オーディエンスやっぱり全然違います。ブーイングする人は滅茶苦茶いますし。日本でステージでパフォーマンスしてて、ブーイングなんか聞かないっていうか、聞けないですよね。する人いなくないですか?

川口 後でね、裏垢かなんかで、SNSで、それくらいですよね。

 ──練習する上で意識していることや大切にしていることは?

Rinka 速いやつとか細かいやつとかやるとやっぱり乱れちゃう部分があるんですけど、それをいかに綺麗に出せるかっていうのと、リズムキープですかね。

川口 キープ…じゃあそれはほとんどドラムの練習とやること一緒だ。

Rinka だと思います。メトロノーム合わせてずっとリズムキープできる練習したり、とかですかね。

川口 私も一音一音の綺麗さっていう、手数ドラマーで売ってるので、そういう時の、音の立ち上がりの良さみたいなやつをやっぱり常に意識して演奏していますし…あとは、セッションとかやる時に、他のミュージシャンが何やってるかを聴けるように気を付けていますね。慣れないことをやってる時とか、精一杯になってる時ってどうしても「自分自分」「これできないあれできない」ってなると、後から聞いてもそういう演奏になってるんですよ。何やってんだって感じな演奏になってるんで、できる限り演奏は熱く、ただ頭は冷静にして。特にセッションだと何でもありじゃないですか。急にレゲエになり始めたりだとか、急にファストスイングになったりとか。「ちょっと遊んじゃおっかな」みたいな遊び心を大事にしたいので。私も遊びたいし、遊ぼうって思ってくれたことが嬉しいなって思うので。それをいかに丁寧に拾えるかを演奏中は気を付けてるかもしれないですね。

 ──オーディエンスに求められるものと伝えたいことの違いを感じたことは?

Rinka 言ってしまえばびっくり人間じゃないですか、ビートボクサーって。だからライブパフォーマンスする時にやっぱり自分がやりたい持ちネタってもちろんあるんですけど、そういうのを、本当にビートボックスを知らない、初見の人に見てもらうと、やっぱりよくわからないってのが結構あって。だから万人受けするように、はじめて聞く人が聞きやすいビートっていうのは自分で考えてやってたりするんですけど。その中でやっぱり受けるのが、みんなが知っているサウンド。だから普通に生活してて聞くような…

川口 なるほど!なんかあります?今できる日常の音…

Rinka なんだろうな…子供にウケるのは、おならっぽい音(笑)

川口 思いのほかちょっとお下品な方に(笑)

Rinka 子供にはすっごいウケがいいんですよ(笑)

川口 でもすごい(笑)その万人受けっていうのは、結構私もぶつかった壁で…やっぱそこは同じなんだなって言うのでちょっと反応を大きくしてしまったんですけど。そのいわゆるみんなが求めているサウンドと、私がやりたい音楽っていうのが、違うっていうのって凄い共感して…。

Rinka 分かります。

川口 例えば、私が軽音をやってる頃を知っている皆さんは、軽音をやっている私を見たいっていうところがあったりするんですよね。

Rinka なるほど。

川口 ただ軽音はカバーなので、実際に私がやってるわけじゃないっていうのがあって。本音言うとあんまり今これでやらせてもらうのは申し訳ない気持ちが強すぎて、ちょっとあんまり堂々とできないっていうのがあるんですけど…

川口 しかも今私はフュージョンというジャンルが大好きで。今日の体調とか、気分とか、その日のインスピレーションで、景色が変わるジャンルが今はすごい好きなんですよ。なので、それを本当はやりたいけれども、みたいな。みんなついてきてくれるんだろうか、みたいなのは、ずっと課題ですし…なので今やってるのが、自分のバンドと、もう1個、KIYO*SENっていう、プログレやってるバンドがあるんですけど、そこでは、もう「遠慮せんぞ」と。「やりたいことやらせてくださいよ」みたいな感じで活動させてくれる現場と、あとは、こういう、この現場にはこれが必要なんだろうな、っていうのをしっかりピックアップして、出力していくっていう…そういう現場もいい感じにスイッチ切り替えて、気を付けるようにしています。どうですか?そういうとこって。

Rinka いや、でも本当に感じますね。それこそ本当に、例えばサポートとか。シンガーがいてのビートボックスだったら普通に誰が見ても、口だけでドラムの役割やってるって普通にすごいな、って思えるけど…

川口 うんうん

Rinka ビートボックス単独で何かやるってなった時に、自分がやりたいことをやっても、ちょっとよく分かってもらえない、理解してもらえない。から、本当にその部分はなんか永遠の課題な気がします。

川口 結構そういう場面になった時におらああってやっちゃうタイプなんですか?

Rinka そうですね、結構勢いでやっちゃうタイプですかね(笑)

川口 そういうとこ意外と性別の話じゃないですけど、女性の方が遠慮がないかもしれないですね(笑)

Rinka 確かに、そこは感じますね。

 ──自分の活動する業界に対して思うことは?

Rinka 私はやっぱりメジャーなカルチャーじゃないからこそ…まだ道が出来上がってないんですよ。ビートボクサーが食べていく、プロでやっていくっていう…

川口 なかなか継続できないですよね…

Rinka そうなんですよ。だからどんなに若い子たちがビートボクサーとして、プロとして食べていきたいと思っても、やっぱりその手段があまりないというか。道がまだ出来てないから。ちょっとそれが難しい状況なので…私が道を作るきっかけになればと思ってますけど…それとやっぱり女性のボクサーも多くないので、女の人もね、増えてほしいし、そのきっかけになれればいいなって思っているので。

川口 私よりも全然大人や〜(笑)本当にでも若い世代からすると、すごいありがたいことだと思います。やっぱり道がないところに道作るのって大変じゃないですか。そこを自分がやろうって言ってくれるっていうのはすごい、素敵なことだなと思います、うん。かっこいい。

 ──今後の活動は?

川口 コロナ禍になって、なかなかライブがね、難しくなってしまったし、海外に行くのがすごい難しくなってしまったっていうのがあるので、あと数年の間はもうとにかく、自分の知識量を増やす時間にしようかなって思ってて。とりあえず音楽シャッフルで流して、この曲かっこいいっていうのをピックアップして、自分に吸収させたりとか。自分の中の引き出しを増やす時間として有効利用しようかなっていうのは感じてまして。じゃあいざこの状況が落ち着いて、また復活しますってなった時に、それをこう、思いっきりガッと出したいなっていうのが今直近の目標、一番目の前に見えている目標かなと。

Rinka インプットタイムですね。

川口 そうですね。

Supported by CHILL OUT
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構成 Tsukasa Yorozuya, Kiriko Fukutome
撮影 Shun Kawahara, Charlie Ohno

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