【PERSONAL FILE】Dancer SEIYA 未来を担う若武者の挑戦

今年惜しまれつつも18年の歴史に幕を閉じたストリートダンスの世界大会 JUST DEBOUT の日本予選で優勝するなど、数々の大会で結果を残し、次世代を担う若手として注目されている、Dancer SEIYA。今回はそんな彼にダンスを始めたきっかけから、転換期に味わった挫折、シーンへの想い、大切にしている価値観などについて訊くことができた。

SEIYA Instagram

スクールからストリートの世界へ


 ――自己紹介と現在活動について教えてください。

SEIYA 後藤星矢と言います。97年生まれの23歳で、ダンサーネームSEIYAでダンスをやらせてもらってます。今は、ダンスがずっとメインでやってるんですけど、この自粛期間にビートメイクもちゃんと始めました。まぁそっちは仕事というよりはまだ趣味みたいな感じで、基本的にはダンスを主軸に、生計をなんとか立てながらやってるって感じですね。

 ――ダンスを始めたきっかけは?

SEIYA きっかけは親の勧めですね。幼稚園の時のお遊戯ってあるじゃないですか。自分はそれをめちゃくちゃ真剣にやってたタイプでした。恥ずかしさも全然なかったし、クラスで一番目立ちたい!みたいな感じ。人前に立つのが好きだったんですよね。で、親がそれを見てダンスやらせたらいいんじゃないかと思ってくれてたみたいです。小学校に入ってサッカーとかも始めたんですけどなかなか続かなくて、でも小3の終わり頃にそれで勧められてダンスの体験行ったらめっちゃ楽しい!ってなってすぐ入会しました。そこからはずっとダンス一筋ですね。

 ――影響を受けたコンテンツなどはありますか?

SEIYA 一番最初はEXILEですね。7人の時の。ダンス始める前から、EXILE『道』のPVを見て、振り覚えて踊ったりしてました。そんな感じで入って、それこそ小学生の間はEXILEになるためにダンス頑張ってましたね。
 そんな感じでEXILEになりたかったっていうのもあって、高1の冬くらいまではavexのスクールに通ってました。なんですけど、高校入ったときに自分の先輩のbboy REOくんと出会って影響受けたことでBREAKIN‘を始めて。当時REOくんがバリバリにパワームーブやってて、かっけぇーモテそー!っていう典型的な動機で始めました(笑) 高2の時とかはHIPHOPよりもBREAKIN’を練習してましたね。で、そこからストリートのシーンを知った感じです。それまでは毎週スクールに通って、年に数回大きい発表会に出てって感じだったので、外出たときは超楽しかったですね。そこで「あ、自分はこっちだな」ってなって完全に方向転換しました

 ――人生の転機となった出来事はありましたか?

SEIYA それこそ、スクールからストリートへの転換期ですね。avexのダンスマスターってとこでやってたんですけど、ちょいちょい名前も知られてるって感じで、実際ちょっと天狗みたいになってたんですよ。でもそんな感じで高校行ったら、ダンスでテレビ出てます、コンテストバンバン獲ってますみたいな子が同い年で入ってきて。「あれ、すごいぞ、上手いぞ」ってなって、バトルとかも出てるって聞いたので自分も出てみたんですよね。その時は自分のこと上手いと思ってたので、余裕で予選上がって勝てると思ったら予選も上がれなくて。そこで一気に挫折を味わいました。で、今のところじゃダメだってなってスクール辞めて、色々探したり先輩や同い年の子と練習するようになりました。
 でも後々気づいたのは、スクールでの教えがダメだったんじゃなくて、自分の努力が足りなかったってことです。ダンスを突き詰めるにあたって、昔教えられたことが回ってくるというか。「あ、これ昔先生言ってたな」みたいな。そういうことに自分がちゃんと取り組んでいなかっただけで、結局自分に返ってきたなと思ってそこでも挫折を味わいましたね。なのでそこからはまた0からスタートみたいな感じでした。

 ――活動を通した学びはありますか?

SEIYA 学びっていうか、海外とか地方の人と仲良くなりやすいっていうのがダンスのめちゃくちゃ良い所だと思ってて。たぶん他の競技だとなかなか無いと思うんですよね。そういうコミュニティの増えやすさはダンスやっててすごい感じます。
 そういう中で、人との繋がりとか付き合い方はダンスを通して学んだ気がします。先輩との付き合い方とか、連絡のレスポンスの早さとか、返事の返し方とか。あと一時期勉強したい時期があって、心理学についてちょっと学んだんですよ。「集中力を高める方法」についてで、やり終えていない項目があると必然的に集中力が散漫しちゃうっていうのがあって。なのでまぁ簡単な話なんですけど、ラインとかも溜めないようにとか、後回しにするっていうのをしないようには意識しています。結局恋愛で悩んだりしているとダンスも疎かになったりするのとかとたぶん一緒で、なんか自分の中でちっちゃいことでも悩みがあると集中できないと思うので、そこはガッと気合入れてスッキリできるように普段からしていますね。


偏見が偏見じゃないという事実


 ――ダンスシーンについて考えていることはありますか?

SEIYA 世間的に一般的に、理解が薄い、理解しがたいっていうのは実際事実だと思うし、それに対してダンサーのマナーが悪いっていうのも事実だと思ってて。まぁ一般の人でもやってる人はいますけど、ポイ捨てだったり、路上喫煙だったり、コンビニの前で溜まって騒いだり、「あ、やっぱダンサーか」って思われることって多いと思うんですよ。「なんかイベントやってんのかな。あ、ダンスイベントか。まぁそのくらいになるよな。」っていう、世間的な偏見、が偏見じゃないんですよね。事実なので。だからそこを無くしていかないことには、理解されにくいんだろうなとは思っていますね。アスリートの人たちはそういうことしないじゃないですか。だから自分はダンサーだっていう自覚をもっと一人ひとりが持てば、変わっていくのかなと思います。他人行儀じゃなくて。
 あと、ダンスはスポーツじゃないとか、芸術だとか色々言われてると思うんですけど、自分は「全部」でいいと思ってて。ダンスはスポーツだし、アートだし。だから、ダンサーはアスリートでもいいと思ってるんですよ。人によってはアスリート気質の方が上手くなる場合もあるし。もちろん遊びでやってる方が上手くなる場合もありますけどね。ただそういう人たちも遊びだから適当でいいとはならないでほしくて、遊びだからちゃんとやってほしいっていうところも自分は思っています。だから、今BREAKIN‘がオリンピック種目になるって話がありますけど自分は大賛成ですね。評価の基準とかは難しいとは思うんですけど、そうなっていくことで世間に知れ渡っていくだろうし、大きくなっていけばダンサー一人ひとりの意識も変わってくるのかなとは思うので。そうですね。ダンスはもっと盛り上がってほしいですね、シンプルに。

 ――ダンス界において変えていきたいことや、やっていきたいことなどはありますか?

SEIYA そうですね。変えていきたいというか、「だからシーンが伸びないんだよ」って思うことは結構あって。言い方あれですけど、底辺同士の評価のし合いというか。サークルとかに居座っている人が多いという現状を感じてて。例えば、そのサークルの身内バトルとかで「あ、その人がジャッジしちゃうんだ」みたいな。それってジャッジの人にとっても良くないことで、人によっては「このレベルでジャッジできるんだ」と思ってしまう。向上心にあふれてる人だったら違うと思うんですけど、そこで満足しちゃう人も多いっていうのも事実で。で結局はその人をブッキングしてしまうオーガナイザーが一番悪いと思ってます。小さいバトルでも、ちゃんとした箱、ちゃんとしたDJ、ちゃんとしたジャッジをブッキングすれば一つひとつのイベントの価値が上がって、基準も上がっていくと思うんですよね。たとえ小さいイベントでも今後に繋げられるものを作ろうとすることが大切だと思います。
 あとはバトルの賞金を上げたいっていうのもあって。エントリー2500円で優勝しても10000円って、交通費とか食費とか引いたら手元に残るのは5000円くらい。それじゃ夢がないじゃないですか(笑) だから自分がイベント開く時はそういうところはこだわりますね。文句ばっか言っててもしょうがないので、自分が行動起こしてダンサーに還元できればいいなと思ってます。

 ――ダンスバトルの魅力って何だと思いますか?

SEIYA 作り込んで来れないからこそ、100%この人が勝つなっていうのが無いことですかね。サッカーとかだったら、バルセロナと全く無名のチームで戦ったら絶対バルセロナが勝つじゃないですか。でもダンスではそれが無くて、大どんでん返しがあり得るんですよ。その時のテンションと客層と会場の雰囲気とかで、全く展開が変わってくるので。その生ものというかライブ感はバトルならではだと思います。
 あとはその瞬間の感動ですかね。自分が今までで一番感動したバトルが2016年WDC HIPHOP SIDEのFINALで、WaydiRochkaがワ―!って叫ぶのがあるんですけど、その時の情景は忘れないです。感動したときのその感動の深さがショーケースだったり映像作品とはまた違う。エフェクトが効かないからこそ生まれる感動が魅力だと思いますね。

 ――数々のバトルで優勝されるようになってきてから、バトルに出るのが怖くなったりしないですか?

SEIYA やっぱり JUST DEBOUT 優勝した後は怖かったですかね。そこからのコロナでしばらく無かった後のバトルが一番怖かったです(笑) 「あ、運で優勝したな」って思われないように、自粛期間自分で絞り上げてっていうのに一番鍛錬したかもしれないです。やっぱりプレッシャーはありますね。でも自分はそれを嬉しいというかプラスに変えられる方です。緊張感は増えますけど、「よっしゃ、やったろ」ってなります。


日本と世界の架け橋へ


 ――大切にしている価値観などはありますか?

SEIYA 言葉で言うと「当たって砕けろ」なんですけど、何事も挑戦してから始めようとは思っています。食わず嫌いというか、やる前から俺はいいってなることもあると思うんですけど、やってみたら意外と楽しく世界変わるみたいなこともあるかもしれないし、そこの一歩踏み出してみるっていうのを自分は大事にしていますね。なんかそこでもし、批判受けたりとか自分にダメージ喰らっても、結局失うものってそんなになくて。バトル出る理由もそこにあるんですよね。エントリー費ぐらい、失うものは。そこで踏み出して、戦ったことだったり、そこまでの過程が大事だと思ってるので。だから「挑戦しないことが一番の失敗」だと思って日々過ごしてはいます。

 ――今後の展望について教えてください。

SEIYA 昔はそれこそ世界一になるとか思ってたんですけど、最近は、なったところでどうなんだって思い始めてて。もちろんタイトルの数とかも大事だと思ってるから、練習して、バトルにも出るし、コンテストにも出て、自分をどんどん上げてはいるんですけど、その先をどうしようかなっていうのを考え出してはいます。そうなったときに、自分がなりたい像で言うと、ALMAHIRO*さんみたいな立ち位置なんですよ。上手くて、かっこよくて、色んなタイトル獲ってて、説得力があるっていうのはもちろんそうなんですけど、それだけじゃなくて、世界と日本を繋げてるのがHIROさんだと思ってて。そういう日本と世界の架け橋になる存在になりたいっていうのを二年くらい前からずっと思っています。でもそのためには英語だったり、ダンス力だけでは補えない部分もあるので、そういったところを少しずつ積み重ねてる感じですかね。

*日本を代表するストリートダンサー。主なジャンルはHOUSE。パリで行われるJUST DBOUT本戦で優勝し世界一になるなど、国内外で数々のタイトルを獲得。また、日本初となる本格的なダンスWS、バトル、パーティーを野外で開催するイベント&キャンプであるSTREET DANCE CAMP JAPANをオーガナイズするなど、日本のストリートダンスシーン向上のために尽力している。

 ――イケてるとは?

SEIYA 難しいですよね。内面的なイケてるもあると思うし、外見的、見た目のイケてるもあると思うんですけど。まぁでも外見的なイケてるって、自分の内面を磨き上げてる人に勝手に出てくるものだと思っていて。いい服着てる、いい靴履いてる、いい髪型してるだけではイケてるにはならなくて、さらにその人の内面がそれに見合ってるっていうのが外見的なイケてるになると思います。だからイケメンじゃなくてもかっこいい人っているじゃないですか。そういう人っていうのは、ちゃんと自分を理解して、自分に合ったかっこよさができてる人だと思うんですよね。
 内面的なところで言うと、好きなことを貫いてるというか。別に一つじゃなくて何個でもいいんですけど、好きなことを「自分はこれだ」って極め抜いてる人に自分はイケてるを感じますね。
 まぁでも、自分がかっこいいと思ってればいいみたいなところはあると思っていて。例えば、他の人が自分のことをイケてないと思えばそれはその人にとってはイケてないってことなんですよね。でもそれに対して、「自分はこうだからイケてるんだ」と言う必要もない。それは個人の価値基準だから。だからあまり他の人のことは気にしないようにしてますね。

 ――カルチャーとは?  

SEIYA 「人と人」ですかね。人と人とが分かり合えなきゃ次に繋げていけないものって感じがします。今あるものって昔の人たちがどんどん伝えてきたからこそあるもので、それは人が人に直接伝えるものもあれば、人がそれを物に注いで伝わるものもあると思うんですけど、でも結局それを拾うのは「人」だと思うので。なんかこう、「人と人」って感じがしますね。めちゃ抽象的なんですけど。

 ――ありがとうございました。


彼はCVLoopsという名義で、Beat Makerとしても活動している。
12月20日には年内ラストのCVLoopsとしてのHIPHOP instrumental アルバム【THE YEAR】をCDとして販売開始。詳細は彼のInstagramをチェック。

取材・構成 Nozomi Tanaka
撮影 Shun Kawahara , Taiki Tsujimoto

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