インタビュー KRUMPER Young Krow
アメリカ ロサンゼルスの若者たちが自らをドラッグやギャングの道から遠ざけ、犯罪に手を染めることなく、厳しい環境を生き抜くための手段として生み出されたKRUMPというダンス。感情や心の叫びを込めて踊る、表現的で自由なダンスとして確立され、日々進化を続けている。今回は日本を代表するFamの一つであるKrow Famの一員であるYoung Krowを取材した。彼の言葉からは、KRUMPというダンス特有の文化、魅力が伝わってくる。
きっかけは師のソロムーブ
──まず簡単な自己紹介と現在の活動について教えてください。
Young Krow 本名はKazuyaと言います。クランプネームが、Young Krow a.k.a. Silver a.k.a. Soulja Konkrete です。現在の活動としては、KRUMPERとしてショーに出たり、Krow FamっていうFamilyで活動しています。
──始めたきっかけは何だったんですか?
Young Krow 高校二年のときに始めました。元々HIPHOPやR&Bしてたんですけど、ナンバーで自分が出てたイベントのゲストで、BigのMASAさん(a.k.a. KROW)が出てて。その時のリハーサルでMASAさんのソロムーブを見て、「やっべぇ、半端ねぇな」と思って、俺もKRUMP習おうと思いました。それでMASAさんのレッスンに行きました。
──その後はずっとKRUMPにのめり込んでいったんですか?
Young Krow そんな感じで始めて、だんだん熱も入ってきてる中で高校を卒業して、建築の学校に入ったんですけど、とにかくダンスしたい気持ちが強くなって学校を辞めることにしました。そこからまたダンスにのめり込んでいきました。

人として繋がっている
──Krow Famに入ったきっかけは何だったのでしょうか?
Young Krow 一緒にMASAさんの下で習ってた、今Kid KrowのTenchiとBoi KrowのKazumaと三人でショーとか出るようになり始めたころ、その活動を見てくれたMASAさんが名前をくれたのがきっかけです。
──Famとは?
Young Krow 色んなFamがあってそれぞれ特徴とか違いがあります。
そもそもFamって何だろうって話なんですけど、KRUMPってアメリカのLAで生まれたダンスで、元々ギャングだった人が暴力とかの代わりに使ったものなんで、ギャングカルチャーがすごい元になってます。たぶんそこからFamという考えが生まれたんだと思います。
で、Famにいる人間にはそこの、例えばKrow FamだとKrowっていうのが最後に付く名前がBig(Famのリーダー、ボス)から与えられるんですけど、その階級だったり名前に対する思いにもそれぞれのFamのBigの考えが表れます。だから、FamっていうのはそこのBigが大黒柱となってその仲間たちによって形成される家族に近いものなのかなと思います。
──ダンスチームとの違いは?
Young Krow より距離が近いし、活動してなくてもメンバーであることには変わらないってとこっすかね。でも外される人も中にはいます。人間的な部分とかが理由でもあったり。もちろん最初はKRUMPというダンスを通じてなんですけど、ダンスで繋がっているというよりかは人として繋がってる感覚です。
──そんなFamという独特のカルチャーで逆にやりづらい部分などはありますか?
Young Krow 日本は特にFamとFamが交わらないことが多いです。それはそれで、日本ならではの面白さみたいな部分でもあると思いますけど。でも、もうちょい交われたら面白いですよね。個人的には。
──LAにKRUMP留学をしに行かれたとのことですが、そのきっかけ何だったのですか?
Young Krow 旅が好きで高校の時から一人でバックパッカーやってる友達がいるんですよ。その友達の話を聞いてて、海外に行けばいい刺激あるんだろうなっていうのはずっとありました。その影響もあって「KRUMPやってるなら発祥地のLA行った方が良い。」と思って行きました。
──LAで印象に残ったことはありますか?
Young Krow みんなすごい純粋でしたね。KRUMPに対してもそうだし、とにかく物事全てに対して純粋な人が多いなって感じました。純粋だからこそKRUMPへの熱量も半端じゃなくて、練習量もすごい。一秒一秒を本気で生きてるやつらが多いです。だから、色んなカルチャーがバンバン生まれたり、半端じゃない人間がいっぱいいるのかなと思います。

KRUMPを通して自分の価値観を表現し正当化する
──KRUMPはYoung Krowさんにとってどのようなものですか?
Young Krow KRUMPは自分にとってのすべてですね。KRUMP始めるまでは全然友達もいなかったし、友達作るのも嫌いでした。世の中せこいやつ多いなと思ってて。KRUMPは自分の価値観を表現して正当化できるもののような気がしています。だからよくライフスタイルって言いますけど、それだなと感じます。KRUMP踊ってる時だけがKRUMPERじゃなくて、日常がKRUMPに繋がると思ってます。
──将来の展望について訊かせてください。
Young Krow まずは、自分が常にプレイヤーとしてかまし続けられるようにしたいです。あとは、自分がプレイヤーとして突っ走っていく中で影響を与えることができて、それをヒントに行動してくれる人が自然と増えるみたいになったらいいなと思ってます。
──イケてるとは?
Young Krow やっぱり“自分のかっこいい”を追求してる人はそうだし、あとは色んなものに興味持ってる人はよりイケてるかなと思います。
──カルチャーとは?
Young Krow ライフスタイルになってるものじゃないですかね。競技じゃなくて。生活の一部というよりかは全部。カルチャーってその人の生活そのものなんじゃないかなと思います。
──ありがとうございました。

今回の取材は、彼が毎週開いているTokyo Krump Sessionというセッション会の現場にて行われたのだが、そこには車から流れるBuck Trackに血を煮えたぎらせ、お互いを高め合おうとする彼と仲間たちの姿があった。Famという言葉通り、本当の家族のような絆で結ばれた彼らから放たれるエナジーは凄まじい。ダンスという枠に留まらず、カルチャーとして独自の発展をし続けるKRUMPから今後も目が離せない。
Special thanks to
Big Krow
Hornet a.k.a. 50% North Create
Twin Ares a.k.a. Rose a.k.a. Lady Avenue
Boi Krow a.k.a. Killa Konkrete
Kid Krow
Silver X
Prince Krow a.k.a. Baby Konkrete a.k.a. Killa Oneshot
etc.
取材・構成 Nozomi Tanaka
撮影 Charlie Ohno , Shun Kawahara