
インタビュー シンガー/ラッパー/プロデューサー SHuN-BOX
2016年より「Singer/Rapper/Producer」として音楽活動を開始し、今若者に影響を与えるアーティストとして注目されているSHuN-BOX。19日には、2nd EP『FAKERS』をリリースした。そんな彼に今回、音楽活動を始めた経緯から、自身のこだわりや価値観、将来の展望までを訊いた。
いじめがきっかけだった
──自己紹介と現在の活動について教えてください。
SHuN-BOX 色々やってるんですけど、メインはアーティストとして活動しています。それ以外にも、ミュージックプロデューサーとか、ビデオディレクターなど結構マルチに活動しているSHuN-BOXというものです。
──きっかけは何だったんですか?
SHuN-BOX 10歳の時に結構いじめられてて。その理由も自分では何となくわかってるんですけど、ちょっと変わっとったんですよね。考え方が昔から芸術的というか、一つ一つの出来事に熱すぎて。若い時って、そういう奴って結構省かれがちじゃないですか。それで孤独を感じていた時にヒューマンビートボックスに出会って、「これ極めたら、バカにしてくる奴らを見返せるかもしれん」と思って始めました。
それでやっていくうちに、中高生だけの全国大会が開かれて二年連続で一位取れて。で、その後Japan Beatbox Championshipという日本で一番大きい大会にダメ元で出たらbest16まで行けたんです。嬉しかったんですけどまさかそこまで行けると思ってなくて、なんか簡単に夢が叶ってしまった感覚になって、その直後から何すればいいかわかんなくなっちゃったんですよね。目標がなくなっちゃったというか。
そこからビートボックスどんどんやっていけばいいもののやめちゃって、一年近く何もしないでいたんですよ。そうやって俺は何したいんやろってずっと考えてたらある時パって思ったんですよね。「俺はメッセージ届けたい」って。ビートボックスで人を楽しませたりすることはできるけど、メッセージは込められないなと思って、俺は歌手になりたいんやなって気づきました。

人の命を救いたい
──活動をしていく上でこだわりはありますか?
SHuN-BOX トラックとかMVとか他の人に頼んでやってもらえばいいと思うんですけど、自分はすごいこだわりが強いのと、あとは最初そんなにお金も無かったので全部独学で始めて、今も自分でやってます。そうやってやっていくうちに、周りの人から映像撮ってよとかって頼られるようになって。今まで人に必要とされてこなかったけど俺はこんな形で人の役に立てるんだ、人を救えるんだと気づきました。昔いじめられた経験があったからこそ、自分のことを必要としてくれる人はマジで大事にしたいんですよね。
──将来の展望は?
SHuN-BOX たしかにアーティストとしてめっちゃ売れて金稼ぎたいとかもあるっすけど、そういうことじゃなくて、俺の本当の夢は「人の命を救う」ことなんですよね。医者じゃないんで技術的、物理的には救えないっすけど、音楽でも誰かの心を動かして前向きな気持ちにさせたりして人の命を救うことができると俺は確信してます。なぜかというと自分がそうだったから。だから今度は自分が音楽を通して誰かを救いたいっすね。
でもそのためには、自分が色々なものを犠牲にしなくてはいけないと思ってて。というのも、人の命を救うの代表格ってスーパーヒーローだと思うんですけど、どんな映画でもヒーローは他人を救うために自分を犠牲にするじゃないですか。だから自分も、人の命を救うために常に自分にとって辛い道を選んでいこうとしています。

自分の未来を信じる
──大事にしている価値観はありますか?
SHuN-BOX 地元で「step out」ていうイベントやってるんですけど、この言葉をすごい俺は大事に思ってて。これ日本語訳すると「気軽に一歩踏み出す」という意味なんですけど、世の中の人って色々やりたいことがあっても何かしら言い訳作って踏み出せてない人がほとんどだと思うんですよ。じゃあなぜ踏み出す勇気が出ないのかっていうと、その踏み出した先が見えないからだと思うんですよね。賭けだし、どうしても安定を求めちゃうから。
でも俺は叶わない夢はないと思ってて。夢って「○○したい、なりたい」っていう欲望のようなものだと思ってて、だからレベルはかなり違いますけど「ある場所に行って友達と会いたい」っていうのもある種夢だと思うんですよ。でもこの場合は誰でもそこに会いに行こうって気軽に一歩踏み出せるじゃないですか。じゃあそれはなぜかって言うと、その場所に友達がいると信じて疑わないから。ただその夢のレベルが大きくなればなるほど、見えなくなるというか信じることが難しくなるんすよね。だから、どんな夢でもその先にあるって信じて踏み出せばそこに行けるんすよ。だってそれ以外ですべて信じて踏み出して叶って来てるんだから。
ただ、見えなくて怖いってだけで踏み出せてない人がめちゃくちゃ多い。自分はそういう人に踏み出す勇気とかを与えられる存在になりたいから、めちゃくちゃ賭けを繰り返してます。タトゥー入れた理由もそれで、やっぱりこの考えに矛盾したくないから、がっつり見えるところに入れることで後戻りできない、この道で頑張っていくしかないように覚悟持ってやってます。

──イケてるとは?
SHuN-BOX 自分のことを信じて、自分の未来を信じて、自分の好きなことをやってるやつはイケてると思いますね。逆に言い訳作って、好きなことやれてない人はイケてないと思います。
──それではだれでもイケてる人になれる可能性はありますか?
SHuN-BOX そうっすね。それぞれ状況は違うと思うっすけど、絶対に不可能なんてないと思うし。俺もいじめられてた時は「声キモい」とかめっちゃ言われてたし、学校行っても誰とも話さない時もありました。そんな俺が今自分の「声」でお金稼げて、必要としてくれる仲間や友達もたくさんいるので。俺はまじで才能無かったですけど、自分の未来を信じる才能だけはあったみたいで、それで好きなことやり続けてきて今に至るというか。
──なぜ信じてやり続けることができるんですか?
SHuN-BOX それは一つしかなくて、俺には守りたい人がいるからっすね。その人たちのために、音楽でお金稼いで幸せにしたいっすね。
結構俺は自分のことより人のことを考えちゃうんすよね。自分の活動と並行してプロデュースもしてるのもそういう性格だからだと思います。俺は、昔いじめられて省かれた経験があるからってのもたぶんあると思うんすけど、今まで出会って、話し合えたり、一緒に笑い合ったりしてくれる人たちにめちゃ感謝してて。だからそういう人たちに恩返ししたいんすよね。
──SHuN-BOXさんにとってカルチャーとは?
SHuN-BOX 「愛」と「平和」ですかね。自分はそれをすごく大事にしていて、それについて歌っているので。それにHIPHOPとかこの業界って、そういうのをすごく重要視して軸として動いてるじゃないですか。だから俺にとってカルチャーは「愛」と「平和」ですね。
──ありがとうございました。

──9/19に2nd EP『FAKERS』をリリースされましたがどういった楽曲なんですか?
SHuN-BOX 4曲のうち最初の2曲が新曲で、3,4曲目が既にある曲のremixになってます。
1曲目がEPの名前にもした『FAKERS』という曲なんですけど、TikTokとかで結構回ってて。世の中うわべなやつっているじゃないですか。俺にもそういうめんどくさい中途半端な女がいてその女に向けて書いた曲なんです。めっちゃ大好きだったんですけど、めっちゃ嫌いなんですよ。時に愛と憎しみって似ててよくわからんくなることあるじゃないですか。ほんとそんな感じなんですけど、でもみんなそういう対象の人っていると思って。そういうやつを思い浮かべながら聴いてほしい曲ですね。
2曲目が『SO BAD』という曲で、歌詞に「SO BADなEverydayじゃ嫌だから SO HAPPYなEverydayの為にWhat’s up」って部分があるんですけど、「What’s up!」って人と会って 挨拶するとき言うじゃないですか。孤独を感じたり悩んでる時って一人で籠って考えがちだと思うんですけど、じゃなくてそういう時こそ一緒に笑ってくれる人と会った方が良いんだよ、一人で悩むことないんだよみたいな感じの曲です。
取材 Taiki Tsujimoto
構成 Nozomi Tanaka
撮影 Shun Kawahara , Ohno Charlie