【PERSONAL FILE】 Professional Tricking Athlete taka 人生を変えたトリッキングへの恩返しを Giving back “tricking”-the thing that changed my life

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インタビュー taka Professional Tricking Athlete
世界でもレベルの高い日本トリッキング界でトップレベルで活躍するtaka。世界大会ではペアで優勝、個人でも2位の経験があるtakaに、トリッキングを始めたきっかけからカルチャーに対する想いまでを訊くことができた。


やりたいのはトリッキングだった


 ──早速ですが、現在の活動について教えてください。

taka トリッキングのプロアスリートとして活動しているのと、インストラクターとしてワークショップやプライベートレッスンをやってます。地方の人に対応できるようにオンラインでも。あとは、Instagramのフォロワーが結構増えてきたこともきっかけで、今年上京して今は東京を拠点に活動してます。

 ──今に至る経緯を教えてください。

taka まず、僕はソニックのゲームが大好きだったんですよ。だから、元々街中を駆け巡ったり回ったりするのがかっこいいと思ってました。今思えばパルクールやれよって感じなんですけど、当時僕が行き着いたのは体操でした。体操は22歳までやってたんですけど、結局ソニックみたいなことをしたいという気持ちと体操の経験を掛け合わせた落とし所はパルクールじゃなくてトリッキングでした。最初は体操の時に苦手だったひねりの参考としてトリッキングを見てたんですけど、徐々にトリッキング自体に興味が移っていったという感じですね。

 ──体操からトリッキングに移った時の周囲の反応はありましたか?

taka 最初は色んな人に「何やってんだ」とか「そんなことでやめていいのか」とか色んな雑音がありました。でも、「俺がやりたいと思ってて、俺の人生なんだからお前が口出しすんな!」って言いながらやってました。トリッキング界からも、体操から来て欲しくないだとか下手だとか色々言われましけど、「今に見とけよ」って思いながらやってたらいつの間にか、っていう感じでした。反骨精神で動いてましたね。

 ──体操出身の人に厳しい部分があったんですね。

taka そうですね。僕がトリッキングを始めるずっと前から、体操出身の選手がいろいろ言われてた時期がありました。トリッキングのカルチャーへのリスペクトがないんじゃないか、みたいな。それがピークの時に僕がトリッキングの世界に入って。僕は体操出身でしたけど、体操には無いトリッキングの芸術的な要素が好きだし得意だったので認められるようになって。僕が認められたことでそういう声もなくなっていったんで、なんやかんやカルチャーを前進させたと思ってます。

 ──トリッキングのカルチャーへのリスペクトを大事にしているんですね。

taka もちろん。だってかっこいいと思って始めてますから。逆に、体操よりこっちの方が楽でしょみたいな感じで始めるのは違うと思ってます。さっきも言ったんですけどトリッキングには体操とは別の芸術的な要素があって、僕は体操には無いキックとか繋ぎとかの芸術的な要素が好きだし向いてるなと思ってやってます。だから、パフォーマンス面でも最初は体操で得た回転とかひねりの部分よりもトリッキング特有の部分を出すことを頑張って。それに付随して有名になるための発信とか活動をしていったので、トリッキングの方で認められるようになりました。


トリッキングは好きなことをやればいい


 ──影響を受けた人はいますか?

taka フィンランド人のベルーという人です。トリッキング界のカリスマみたいな人なんですけど。元々、始めて半年くらいの僕に目をつけていてくれたみたいで、兵庫に来た時に大阪にいた僕に声かけて練習に誘ってくれたんですよ。その時に色々見透かされてて。「お前は体操から来て迷いとか葛藤があると思うけど、トリッキングは自分の好きなことやればいいから。本当に自分の好きで得意なことを極めていくしかない。」って言われたのはすごい心に残ってますね。
あとは上京する時に「そんだけフォロワーいるんだから」って背中を押してくれたビデオグラファーのIsseiさん。
そしてTTM(TOK¥O TRICKING MOB)のリーダーの高橋大典さんは、体操選手出身だからダメでしょっていう色眼鏡もなしに“トリッキングとは“っていう部分を教えてくれて、うまくなるよっていってくれましたね。
あとは、日本でパルクールの認知度をガンッとあげた島田善くん。善くんの動きはよくチェックしてて、こういう活動をしていかなきゃなって思ってます。
影響を受けるというか、勉強してるに近いです

 ──活動を通して学んだ事を教えてください。

taka 人間は好きに生きて良いっていうことですね。何でも出来るんだな人間はっていう。これは子供たちに指導する上でもテーマにしてます。僕は基本的に子供たちがレッスンから脱線してても怒ったりしないんです。好きに生きて欲しいので。僕自身体操のキャリアを捨ててゼロからやり直してるので、いつでもやり直せるし何でも出来るっていうのを大事にしてます。

 ──トリッキング以外のカルチャーに関心はありますか?

taka もちろんありますよ!トリッキングってまだまだ若いカルチャーなので、他のカルチャーから見習わなきゃいけないことがたくさんあります。例えば体操も、トリッキングが今陥ってる問題を解消して、ブランディングをして今の厳格な採点競技になって成功してます。ただ、同じようにやってもトリッキングは成功しないと思うので、見習いつつも別のトリッキングなりの道を探っていかないと成長しないかなと思ってます。そういう意味で、ブレイクダンスとかパルクールのカルチャーには関心があります。


トリッキングへの恩返しを


 ──takaさんの活動はトリッキングへの恩返しという想いが感じられます。そういったことを考えたことはありますか?

taka そうですね。むしろ恩返しでしかないかもしれない。元々僕は良い暮らしがしたいとも有名になりたいとも思ってないような人間でした。でも、彼女に浮気されてフラれて(笑)ウゼー!って思って、いいことねーな俺の人生って落ち込んでた時にトリッキングに出会ったんです。トリッキングというスポーツに出会って180度人生が変わって、生きてて楽しいなと思わせてくれた事への感謝を感じてます。だから、トリッキングというカルチャーに対して恩返ししないといけないという義務感でほとんど動いてますね。

そういう動機があるから、自分のブランディングもしやすかったし、ビジネスにも発展させやすかったですね。恩返しって、誰かの役に立つことで、ビジネスと同じ考え方だと思うので。たまに義務感でしんどくもなりますけど。

 ──今後の展望は?

taka やっぱりトリッキングの施設を乱立させたいですね。そこで指導者も各所で雇えたら雇用も広がりますし。あとはやっぱ、トリッキング以外でも有名な存在になるっていうのが1番いいのかなと思ってます。めちゃくちゃ壮大な目標で、苦しいとは思います。結構現実的な壁が見えてくるんで。でもやっぱりそういう人が1人でも生まれないとトリッキングは終わりだと思います。食っていけるカルチャーにしてあげないとあんなに練習頑張ってる下の子たちが報われないなと。

 ──イケてるって何だと思いますか?

taka 人のために何かをできる人ですね。自分自分自分!ってなってるストイックな人にもかっこいい人はいますけど、それが他者の方向に向いてるっていうのは本当にイケてるなと思います。やっぱり他者のために何かをするって負荷がかかることなので。立ち姿とか、目の座り方にも滲み出てくると思います。

 ──最後に、takaさんにとってカルチャーとは?

taka 難しい質問ですね(笑)んー、宗教とあんま変わらないんじゃないですかね。生き方を示してくれたり、生きる場所を与えてくれるという意味では拠り所にできるものなので。やっぱりただのスポーツよりは暖かいところだと思いますね。

 ──ありがとうございました。

国内外問わず幅広く活動する中で、様々な挫折、雑音と戦って来たTaka。その根幹に常にあったのは、反骨精神と恩返しだった。自らがトリッキングシーンの道標になるべく日々行動し続ける彼のこれからの活動から目が離せない。

取材 Tsukasa Yorozuya
構成 Tsukasa Yorozuya, Charlie Ohno
撮影 Shun Kawahara, Charlie Ohno

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