インタビュー フローリスト moha
花を用い、配置や構成を工夫した作品を作り、会場を装飾するフローリスト。花自体は身近な存在だが、その構成に思考を凝らすことは少ないのではないだろうか。そんな花の世界において、独自の視点とこだわりで空間を彩るz世代が活躍している。スケートボードのデッキを使用しストリートカルチャーと花の融合を実現し、既存の枠組みに囚われないmoha。今回は、そんな彼に現在の活動に至る経緯や価値観、作品に込める想いを訊いた。
花屋からフローリストへ
──自己紹介お願いします
moha フローリストのmohaです。20歳です。
会場装飾をメインにお花の装飾を行っています。たまに個人の御依頼とかもいただいて記念日の花束とか作らせて頂いています。
──生け花に近いような感じですか?
moha そうですね。生け花とは少し違って、会場装飾するときにその時の内容だったりその人たちが何を好きなのかとかどの花が合うのかとかによってドライフラワーを使ったり、生きてるお花を使ったりしてます。生け花とかに囚われずに自由にって感じですね。
──小さい頃からお花は好きだったんですか?
moha いやあまり好きではありませんでした。珍しいものでもないし毎日目にするから、好きじゃなかったんです。でも、実家が花屋で後継ぎになる為に、修業としてホテルに入ったんですけど、入った時にまだ18だったんで結構なめられて、あまりお花の知識を教えてもらえなかったんです。その中で練習して同期よりうまくなってやろうとか、こういうの作りたいなって思って行動し始めてから好きになりました。

──そこからフローリストになるまでの経緯を教えてください。
moha 仲の良い古着屋さんに最初に作ったお花をかざらせていただいてから、自分で自由に作るって楽しいなって思って。そこからやるようになりました。
──ストリートと結びつけた作品を作っていらっしゃいますが、そのきっかけは何だったんでしょうか?
moha 以前アパレルで働いていたこともあって、その時の先輩がイベントのオーガナイザーとかしている人だったり、周りにスケーターの同期がいたりとか、結構ストリートで生きている人がいっぱいいました。僕もストリート好きだから、スケートボードのデッキ使ったり、花と合わせたら面白いんじゃないかなみたいな。
──ストリートと掛け合わせる花っていうのは他にもやってる人いますか?
moha 今まで作ってきたものとかは本当僕は見たことないやつなんで、あんまりいないんじゃないですかね?いるとは思うんですけど見たことはない。
──影響を受けた人やコンテンツはありますか?
moha さっき言ったアパレルの先輩が開いたイベントに出ていた人たちの中に、ラッパーや書道家など色んなジャンルの人がいたので、そういう人たちを見て、自由にやっていいんだなと思うようになりました。
──活動の軸、価値観を教えてください。
moha 基本的なものに囚われないようにするっていうのが自分で常日頃思ってる事ですかね。
──基本というのは「こうあるべき」的なことですか?
moha 色んなものに共通して言えることで、花だったらこういう作り方があるっていう基本はあるけど、自分のやっぱりオリジナリルっていうのはすごい大切にしたい事だし、でもまあ基本も大事にしながらみたいな感じですね。
──自分のオリジナリティはどういったところですか?
moha 見たことないものを作ってるっていうのがオリジナリティだと思います。
例えば雑誌を見てこういう服流行ってるんだとかっていう感じじゃなくて、花で言ったらこういう作り方あるんだとかも見ないで、今まで経験してきたものっていうのを基盤にしてあと想像で作るみたいな。
──デザインのインスパイアはどこから?
moha それが何にもなくって。頭に浮かんだものをパッと形にしたいタイプなんで、打ち合わせの時とかもデザインとかほぼほぼ出さないですね。こういう感じですって口頭で言って、当日違ったら自分で変えたりとか、そんな感じです。


誰も見たことのない花を咲かせる
──活動を通して気づいたことや学びを教えてください。
moha 学んだ事はやっぱり人とのつながりの大切さです。色んな人に影響を受けたりとか助けてもらったりとか。今こうやってやってるのも自分の力だけじゃなくて、周りの人がいるから成り立ってる。周りの人にはそういう感謝の気持ちみたいなのを学びましたね。
──将来の展望はありますか?
moha 今やってる会場装飾とか作品作りとかはどんな形になっても続けていきたいなって思います。将来的にどうなりたいとかはないですけど、やっぱり花屋に戻った時に繋げられるような仕事が出来ればなと。
──ご自身のアートが会場や人に与える意味は何だと思いますか?
moha 僕の作品は僕が作るものは結構自由にやるっていうのをテーマにしてるんで、お花と花瓶っていう誰でも見たことあるようなやつじゃなくて、スケートボードとお花とか、観たことないようなやつ作って、なんか自由にやってもいいと思うみたいなのをどのジャンルにも言える事なんで、そういうのを伝えられたらなって。
──お花とクリエイティブは遠いイメージですが、どう考えていますか?
moha そんなに深く考えたことはないんですけど、やっていくうちにどんどんこういうのを作りたいなとか、頭に浮かんだやつを作らないと、作品にして形にしたものをみてみたいなって自分は思うんで。そこまで考えたことはないけど、自分の考えを大切にするみたいな感じです。
──フローリストは色んなカルチャーと融合できそうですが、可能性を感じてますか?
moha 感じてますね。最初にスケートボードと一緒にお花を作った時も周りの評価が良かったりして、今自分の頭の中にもこういうジャンルの人と一緒にできたらなとか、こういうの使ったら面白いなっていうのがあるので、可能性はすごいあると思います。


貫く個性
──あなたにとってのイケてるとは何ですか?
moha その人自身だったり、やってる事だったりにぶれないものがあったりとか、それこそオリジナリティがあるのが僕はイケてるって思いますね。周りからそういうのダサいでしょとかそれ違うでしょって思われても、俺はこれやってるって貫いてるやつがかっこいいなって思います。
──カルチャーとは?
moha カルチャーってパッと考えたときに文化って言葉がすごい思いつくんですけど、服とか音楽とかだったら80s90sとかあるように、文化って昔の人たちが作ってきたもので、そういう世代の人たちのオリジナリティだと思うんで。だからカルチャーはイコールとは言い切れないけど、「個性」みたいなっていう感じはしますね。
──その時代とか人の個性がカルチャーってことですか?
moha その人のバックボーンがある上に成り立ってるもので、そういう人がいて個性があるから成り立つものだと思うから、曖昧な表現だけどそう思います。
──ありがとうございました。


location : EBISU BATICA http://www.batica.jp
取材 Taiki Tsujimoto
構成 Ryo Mizuguchi
撮影 Shun Kawahara, Charlie Ohno