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インタビュー ヒューマンビートボクサー SHOW-GO
楽器や道具を用いず、自らの口のみで音を奏でるヒューマンビートボックス。数々のヒューマンビートボックスの世界大会で好成績を残し、日本人ビートボクサーとして世界中から注目されているSHOW-GO。今回我々は、彼のビートボックスの出会いから、向き合い方、将来の展望までを訊くことができた。
Human Beatboxとの出会い
──現在の活動を教えてください。
SHOW-GO 今の活動は、大きく三つに分けるとヒューマンビートボックスと、音楽制作と、大学でデザイン学んでいます。音楽制作にもビートボックスは入ってくるので、ビートボックスが1番大きい活動ですね。
──ビートボックスに出会ったきっかけは?
SHOW-GO 王道すぎるきっかけなんですが、中学3年の時に家でYouTubeを観ていたらHIKAKINさんが出てきて。ビートボックスをやってるところを見て、「これクラスでやったらモテるんじゃない?」くらいの気持ちで始めました。(笑) それまで、全く音楽に興味のない人間だったので、最初は一発芸感覚でした。
──最初から独学でやってこられたんですか?
SHOW-GO はい。YouTubeに講座動画があって。例えばバスドラム、キックドラムのやり方みたいな。そういうのを画面の前でひたすらやっていましたね。
──そこから本格的にのめり込んで行ったきっかけはありましたか?
SHOW-GO 中学生のとき、自分で言うのもなんですが優等生だったんですよ。(笑)それで、北海道の中では頭のいい高校に入れて。でも周りのレベルが高くて、中学まで1番勉強できたのに、高校では下から数えた方が早かったです。その時に勉強とか嫌になっちゃって、ビートボックスを今まで以上にやるようになりました。それで高校一年のとき、札幌で年に一回くらいで開催されていたビートボックスのバトルに初めて出てみたんです。知り合いもいなかったので、かなりビビってました。
でもそれが本当に楽しくて。見るのもやるのもすごい楽しくて、そこからのめり込んでいきました。

誰もしていないようなビートボックスを
── SHOW-GOさんは世界で活躍されていますが、日本と海外のシーンの違いは感じますか?
SHOW-GO あまりイメージ無いかもしれないですけど、ビートボックスはヨーロッパではかなり盛んです。ビートボックスの認知度と認知のされ方が全然違います。日本ではまだ一発芸的な認知のされ方もあると思うんですが、ヨーロッパではビートボックスが一つのアートフォームとして確立されてる感じがあります。
──ビートボックスをやる中で転機となった出来事は何かありましたか?
SHOW-GO 高校3年の時に、アジア大会があって。ビートボックスの世界大会には、ある程度国ごとの優勝者の枠とかは用意されてるんですが、ワイルドカード枠というものが大体あるんですね。それは動画審査で通った5人くらいがアジア大会に出れるというもので、僕も出してみたんです。そしたら通っちゃって(笑)
それで台湾で開催される世界大会に出れることになって、人生で初めて海外に行きました。成績自体は、3位でまずまずだったんですが、シンプルにすごい楽しかったんですよ。
海外が初めてっていうのもありましたけど、アジアの色んな外国人と接する中で、最初は「どうやってコミュニケーションとればいいの?」という感じだったのに、ビートボックスやってるってだけでめちゃくちゃ仲良くなれるんですよ。それはすごい感動しました。その時から、頑張って世界挑戦しようと思いました。
それで、その後の別の世界大会でワイルドカード枠を獲得することができて、世界中で結構知ってくれる人が増えたという感じですね。
──ご自身のどういうスタイルが広く認知されることに繋がっていると思いますか?
SHOW-GO 心掛けているというほどでも無いんですが、誰もしていないようなビートボックスをしている気はします。自分よりテクニックがある人はいくらでもいます。音の迫力とかも、小柄な僕は海外のデカイ人には絶対勝てないです。なので、別の土俵で戦おうっていうのは考えてますね。

「好きでい続けることが大事」
──影響を受けた人やモノはありますか?
SHOW-GO 京都ですね。特に高校2年の修学旅行で行った京都です。
──京都ですか?
SHOW-GO はい。高校二年生のとき、クラスに1人も友達がいなかったんです。本当に1人もいなかったんです。(笑)4泊5日の修学旅行で、うちの高校は全部京都だったんです。でもその修学旅行の中で、友達が1人もいなかったので、京都しか相手がいなかったんです(笑)僕には京都しかいなかったので、京都と対話してるみたいな。
それでもう京都にハマっちゃって。2ヶ月後には1人で京都行ってましたね。そこからはもう年に最低2回は京都に行ってます。ファッションとかは京都からインスパイア受けてますね。ビートボックスも、言葉にはできないんですが、どこかで必ず影響を受けている気はしてます。
──大事にしてる価値観はありますか?
SHOW-GO 言葉を選ばずに言うと、頑張らないようにしてます。
ビートボックスを仕事にはしたくないんです。というのも、大学入りたての時に本気でビートボックスを仕事にしてみようという時期があったんです。だからお金のこととかも考えて活動をしてました。でもその時に、すごいビートボックスが嫌いになっちゃって。「全く楽しく無いなコレ」みたいな。
バトルに関しても、僕はそんないい成績残してないんですけど、勝手に優勝候補って周りから言われちゃって。「全然そこまでいい結果残してないのに」って思ったりして。そういうプレッシャーもあって、大会の為に構成を作ったりするのが本当に楽しくなかったんです。でも、youtubeに動画あげようかなって時はポンポンアイデアが出てくるんですよ。その時、これでいいじゃんって思いましたね。頑張らないっていうと誤解を生みそうですけど、心に余裕を持つってことが大事だなと思ってます。ビートボックスを好きでい続けることが大事だと思うので。
──インスタのフォロワーやビートボックスのファンはとても多いですが、そこに関してのプレッシャーはないですか?
SHOW-GO ありがたいことですし、数が多くて得することもあります。でも、結局自分自身はそんな変わらないんですよね。それに流されて自分のビートボックスへのスタンスが変わることはないですね。
「歯が抜けて無くなるくらいまではビートボックスを続けたい」
──活動を通した学びはどのようなものがありますか?
SHOW-GO いやー、学びしかないですね。始めた当時僕はビートボックス界でもかなり若くて、上の世代がほとんどだったんです。ビートボックスを通じて出会った先輩たちからは、人として色々な事を学んだ気がしますね。ビートボックスと一緒に人間として成長してきた感覚です。あとはやっぱり、ビートボックスをしていなかったらできなかった経験がたくさんできましたね。海外に友達ができたこととかは、ビートボックスをしていなかったらあり得なかったことだったと思います。
──今後の展望は?
SHOW-GO 将来の夢があります。京都に住んで、今はいないんですけど(笑)、奥さんと2人で仲良くのんびり暮らしたいです。ビートボックスに関しては、それでご飯を食べたいとかは考えてないです。社会に出ても、辞めたくないなというのが1番ですね。辞める理由もないですし。歯が抜けて無くなるくらいまではビートボックスを続けたいので、ビートボックスに対してのスタンスはこのままで行きたいです。
──SHOW-GOさんにとってカルチャーとは。
SHOW-GO カルチャーというのは、根本的には文化や伝統に近しいものではあると思います。でも、カルチャーはもっと自由で幅が広いものだと思ってます。なおかつ、常に変化しているものです。新しい世代が出てきて、その人によってカルチャーも変化していくものだと思ってます。
──ありがとうございました。

世界中から注目浴びてもなお、大切なことは自分自身がビートボックスを好きでい続けること。そう語るSHOW-GOの好きなものへの向き合い方は迷いがなく、本質的に思えた。ビートボックスはもちろんの事、それ以外の彼の活動からも目が離せない。
取材 Taiki Tsujimoto
構成 Shotaro Charlie Ohno
“【PERSONAL FILE】Human Beatboxer SHOW-GO 「頑張らない」という美学 Aesthetics of “Taking it Easy”” への6件の返信