【PERSONAL FILE】フリーソフトボール選手兼コミュニティデザイナー 本庄遥 本質を見極め、自分にしかできない選択を

フリーソフトボール選手という異色な肩書きを持ち、スポーツに留まらずコミュニティデザインやYouTube活動など幅広く活躍する本庄遥。マルチに活動する彼女のキャリアの形成過程に迫ることで見える独自の価値観とは。


怪我をきっかけに見つめ直した自分の価値


──簡単に自己紹介と活動をお願い致します。

本庄 フリーソフトボール選手兼コミュニティデザイナーです。

アスリートってプロや企業に所属して実業団という形でプレーするのが一般的な形なんです けど、私は海外のチームにトライアウトを受けに行ったり、単発で外国人助っ人という形で 大会に出場したり、しています。今はコロナの影響で海外に行けないので、割り切って仕事に力を注いでいます。

コミュニティデザイナーの仕事としてはスポンサー獲得やファンクラブ運営で培った運営方法や人との関わり方を活かして、企業やオンラインサロンのコミュニティ形成の支援や運営サポートを行なっています。

──フリーソフトボール選手は主流なんですか?

本庄 それが、全くいないんですよね笑 私以外は全員企業に所属しています。確かに物理的に言うと、ちょっと無理だと思うんですよ。ソフトボールって団体戦なので。

──そうですよね。プロの選手で国やチームを渡り歩くというのは大変ですよね。

本庄 そうですね。先程言ったように物理的に難しい部分はあるので、相当な覚悟が必要だったりだとか、自分でお金を生み出せるようなスキルがないとできないと思っています。

もちろん私自身そこに関して相当苦労した側面もありながら思うことで。フリーアスリートをもっと気軽に始められるような世界になったらいいなという想いもありますね。

──フリーでやろうと思ったきっかけはありますか?

本庄 大学の2年生の頃に将来を考えたときに、ソフトボール選手としての選択肢ってプロの実業団に入るか、クラブチームで遊びの延長のような感じでやるか、みたいな究極の二択しかなかったんですよ。

将来強いチームに入ったら寮生活して、会社に勤めながら空いた時間で練習をして、みたいに新しいことに挑戦する時間がないなっていう懸念はあって。ただ、高いレベルでソフトボールを続けるには実業団しか選択はないと言うのはずっとわかっていたので、実業団に行く!と言い続けていたんですね。

そんなことを考えていたタイミングで怪我をしてしまって。この怪我が「なんで私はソフトボールをしてるんだっけ」って考え直すきっかけになったんですね。今まではソフトボールがあれば実業団に入って活躍できるしそのまま就職もできるし全く困らないなって思ってたんですけど、もし投げれない状況になってしまったら、自分の価値って一体なんなんだろうって。

考えてみたら本当に何もなかったんですよ。自分の価値って何もないなって。ボール投げることしかないって。怪我の影響でパフォーマンスも落ちてきて、3年目は全然成績を残せなくて。

そんな時にアメリカのプロチームに呼ばれる夢を見たんですよ。それが契機になって、起きてから15分くらい携帯でいろいろ調べて一番実現度が高いオーストラリアに留学することを決めたんです。この決断から、実業団という夢も一切なくなってフリーで動くことを決めましたね。


「スポーツ界の概念を変えた女性」という希少価値


──影響を受けた人や考えがあれば教えてください。

本庄 人生みたいなところで言うと両親ですね。育てられ方がすごく良かったなと言うふうに思っていて、否定をほとんどされたことがなかったんですね。

記憶に残っているのが、小学生の頃にお菓子買い放題させてもらったり、中学生の頃に服買い放題させてもらったりだとか、とにかく自分の限界を作らないみたいなところがあって、そこに関して時間やお金をかけて頂いたなと思っていますね。

親だけではなくて、出会う監督達も自分が活躍した時には「すごいな!」「天才やな!」と言ってくれる人が多く、褒めて伸ばす育て方をしてくれる指導者に恵まれたなとは思っています。

言ったことが全部実現するような環境で育ててもらったからこそ、そういう自分を信じていいと思えたし、誰も成し遂げたことがないような挑戦をしたいと思えたな、というところはありますね。

──大切にされている価値観はありますか?

本庄 人との関係性の構築みたいなところはすごく意識していて。

例えばなんですけど誰かに紹介して頂いた人とお会いするときには、紹介して頂いた人の顔に泥を塗らないように最善を尽くすということは意識していますね。自分の信用を落とすだけじゃなくて、その人の信用も落としてしまうっていう。

あとは人って大体似通った人たちと出会っていくと思うので、レベルの高い人たちと会いたいって思ったらそんな人たちと会うために自分の価値を上げることは大切だと思っています。

取材はオンラインで行った。

──日本のシーンや学生シーンに対して思っていることはありますか?

本庄 もっと学生のうちから視野を広げられるような環境を学校側とか先輩後輩関係なく作っていければいいなと思っていますね。

例えば、いろいろなことを禁止にする文化とか。部活でスマホ禁止や恋愛禁止だったり、普通の中学校でも化粧ダメとかもあるじゃないですか。「大人は化粧しないと失礼だ」とかいうくせに幼い頃はダメみたいな笑 なんでダメって聞かれた時に答えられる人ってほとんどいないと思うんですよ。ルールだから。だと思うんですよ。

ルールが作られた理由は必ずあると思います。例えば恋愛禁止というルールは試合や練習に集中するために決められていたり。だけどルールだけが一人歩きして、試合や練習で常に集中してハイパフォーマンスな学生が恋愛していても怒られる現状もあります。そもそもなんでダメなのかみたいなところを、もう一回みんなで考え直すべきだと思いますね。

──本質を考え直すということですね。

本庄 そうですね。私自身も怪我したからこそ「なんでソフトボールしてるんだっけ?」っていうふうになったんですけど、普通に競技をやっていたらそこに気付かずにやり続けてしまうので。どこかで気付けるようにならなきゃいけないと思いますね。

──なるほど。海外挑戦に関しては日本のシーンに対して思うことはありますか?

本庄 海外じゃなくてもいいんですけど、自分の伸ばしたい強さや本当にやりたいことを考えて道を選択してほしいですね。

私の場合だと、潜在的に海外に行きたいという想いがあって。チェンジアップが得意なんですけど、「この長所はどこまで通用するんだろう。」っていう思いがずっとあったんですね。ただ、高校時代に日韓交流戦に出て以来、日本代表として選ばれることもなく、外国人と対戦する機会はなかったのですが、オーストラリアに行ったタイミングで日本代表としてじゃなくても、個人で行ってもいいんだなっていうことに気づけたんです。実際にオーストラリアで活動することで、「あ、私のチェンジアップは海外でも通用するんだな」って確信できたんですね。もし海外で活躍したいって思ったときに日本代表だけじゃなくて個人で行く道があったように、目標に対して選択肢は幅広くあるっていうことを認識して欲しいですね。

──本質を見極めるというところが本庄さんの活動の幅につながっているんですね。

本庄 そうですね。結局何がやりたいのか。ソフトボールをやりたいのか、それともソフトボールは一つのツールなのかっていう、私自身はソフトボールに対しての価値観が他の人とは違うところがあるかもしれませんね。ソフトボールっていう山を登るより、「スポーツっていう山を登っている1ソフトボール選手」っていう立ち位置で「スポーツ界の概念を変えた女性」っていう希少価値を発揮していきたいです。

自身のホームページ http://haruka-honjo.athkatsu.com

縛られず、自分で創り出す


──今後の目標や展望を教えてください

本庄 ソフトボール選手としては、いろんな国にこれからも行きながらソフトボールってこんなところでもできるんだよっていうのを伝えていきたいとは思っていますね。

──SNSを拝見させていただいたのですが、「ソフトボールで世界を変える」という言葉が印象的でした

本庄 そう思っていますね。今って、ソフトボールの将来が実業団に入るか、遊びでやるかの二択しかなくて、もっと選択肢のバリエーションがあった方がいいなとは身をもって感じています。そのときに例えば海外という選択肢を持てば、海外の強いチームに入ってめちゃくちゃ練習するか、単発的に試合に出て活躍するか、トレーニングするか、みたいにその時々に応じて柔軟に活動できると自分自身が経験したからこそ、ソフトボール界の選択肢が幅広くなったらいいなとは思いますね。

──コミュニティマネージャーとしての夢はありますか?

本庄 アスリート全員が個人でファンクラブを作ったり、オンラインサロンを立ち上げられる世界を作ることですね。そこができれば、スポンサー獲得でヒイヒイ言わなくて良くなるというか、受け口を作ってあげたくて。

アスリートを応援したいと思う人は死ぬほどいるのに、アスリート自身はファンクラブとかそういう受け口を持っていないのでみんな応援できないんですよね。例えばオリンピックのA選手を応援したいのに今だとどうやってお金を払えばいいかわかんないんですよ。それが例えば名前を調べたときに「Aさんファンクラブ」っていうふうになったら、近くに行きたい人が近くに行ける世界が実現すると思います。

自分自身もコーチングやファンクラブの運営を行っているのでその知見を生かして、例えばレベルの高いソフトボールのレッスンを受けたいってなったら、お金を払えばいけるような。逆にお金払えなくても奨学金で行けたり、というような世界を実現していきたいですね。もちろんソフトボールだけではなくて、どんなスポーツでも一緒ですね。そういう世界を目指していきたいです。

──あなたにとってカルチャーとは?

本庄 結構ネガティブなイメージが大きいんですよね。私はカルチャーに縛られてきたと思っていて。先ほど話したように恋愛禁止だったり携帯禁止だったり、縛られてきたので。カルチャーは自らの手で変えるものであって、創り出していくものだと思っています。

──縛られすぎない。自分に合ったように変えていくということですか?

本庄 そうですね。自分に合わせると言うよりは、今あるカルチャーに対して問を立てることが大切です。「なぜ、この文化があるのか?そもそも今の時代に必要なのか?」と問を立てることができれば、自分の価値観を構築できると思います。
それこそ、昔はスポンサーで成り立っていたスポーツ界も、今はアスリート一人ひとりがファンづくりをして、お金を稼がなければいけない時代に入ってきています。みんなが経営者アス リートみたいな。そのくらい個人の力がないとやっていけないと思うんですよ。その世代交代みたいなものがコロナのタイミングで起きた気がしますね。

──ありがとうございました

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